歴史文化学科歴史学専攻(現、研究コース)は、1992年(平成4年)開設され、2022年(令和4年)に30年を迎えます。そこで、これまでお勤めいただいた諸先生、卒業生の皆さんから、思い出や近況、大学への期待などを寄せていただくことにしました。第2回目は近江昌司先生です。
入試の面接はちょっといやでした。「歴史上で好きな人物は」の質問に、多くの答えは「織田信長」。「判官贔屓・太閤人気・川中島・ナポレオン」関係は一人もいない。
三国志も人気があった。「関羽の馬は? 張飛の青龍刀は? 赤壁戦は?」などの問いにすらすら答える。「虞姫」をめぐる女子との会話も楽しかった。素晴らしい受験生と感心。すると、「みなTVの人形劇かアニメですよ」と傍らの先生。なるほど自分も「吉川英治」「少年講談」からだったわいと、道学者めく己を省みた。
前年にソビエト崩壊、唯物史観・社会経済史は行き詰まり、自身の歴史観は迷走。歴史学教育はどうすればいいのか、技術的な史料の読み方で終わるのか。手探りの授業計画でした。
私的には、大阪市美術館における参考館・図書館の名品展を抱えながら、充実した年月ではあったと思っています。 近江昌司