理念と歩み

理念

Knowledge to Act 他社に貢献する教養を

私たちの社会は、大きな転換期にあります。
変化の激しい時代に必要とされるもの——
それは、自分よりも他者を想いやり、多様性を認めながら周りの人に明るさと安心を届ける、そんな利他的な力ではないでしょうか。
天理大学は多様な人が互いに助け合い、誰もが幸せと生きがいにあふれる社会の実現をめざしています。1925年の創立以来、その実現に欠かせない「他者への貢献」に資する教育プログラムを提供してきました。
2025年の創立100周年に向けて、天理大学は社会に貢献できる人材の輩出を、引き続きより広く実行していきます。15学科への再編と教養の涵養を重視するカリキュラムで、「誰かのために役立ちたい」「得意なことを社会のために活かしたい」という学生の想いを形にしていくための力を育みます。

創設者

中山正善 天理教二代真柱

創設者の中山正善・天理教二代真柱(1905〜1967)は、天理教海外伝道者の育成と、外国語教育を通じて豊かな国際感覚をもつ人材の育成を願って、1925年(大正14年)本学の前身である天理外国語学校を創設しました。これは、わが国最初の私立外国語学校でした。

天理外国語学校は、当時としては画期的な男女共学制を取り入れ、また欧米文化の受容に一辺倒であった文化的風土の中で、近隣のアジアに注目し、私学で初めての朝鮮語教育を実施しました。その後幾度かの機構の改革を重ね、これらを母体に1949年(昭和24年)天理大学として発足しました。

さらに、創設者はキリスト教の東方伝道史を研究し、多くの関係書を集め、学生の異文化研究のための図書を収集しました。その成果が質・量ともに内外に誇る附属天理図書館の誕生となりました。また、自ら海外事情の調査を行い、世界各地の民俗資料を収集したものが、現在の附属天理参考館へと発展しました。

加えて、柔道やラグビー、野球などのスポーツを愛好し、スポーツ全般の普及振興に貢献し、特に柔道を東京オリンピックから正式な競技種目に採用されるよう尽力したことは特筆に値します。

こうした創設者の深遠な将来への洞察力と実行力により、本学の教育・研究の基盤が形成され、今日に引き継がれています。

  • 創設者記念館(若江の家)

    創設者が創立30周年を記念して天理大学へ寄贈

    杣之内キャンパスの南西に建つ「創設者記念館」(若江の家)。この大正ロマン溢れる洋館は、本学の創設者・中山正善天理教二代真柱が、旧制大阪高等学校在学時代に「管長公勉強室」として1924(大正13)年春に建てられた建物を、創立30周年を迎えた記念として天理大学に寄贈されたものである。
     この建物は、当時の大阪府下中河内郡若江村(現在の東大阪市岩田町)の天理教大阪教務支庁の敷地内にあったもので、二代真柱が大阪高等学校卒業後も、そのまま保存されていたが、これを天理大学構内に移築し、元の所在地にちなんで「若江の家」と命名された。その落成式は、1955(昭和30)年11月23日に挙行された。

    北東から見た創設者記念館(若江の家)

    「外国語学校の誕生とこの家とは深い関係がある」

    大正ロマンの趣きが漂う2階の洋室

    二代真柱は、その落成式会場で、
    「(前略)この家の正式の意味では大学への引渡しであり、新しい意味での再生の喜びである。私はこの家を学び舎と考えたが、当時、教務支庁では管長の書斎としていた。いづれにしても、私の若い時代をここで築いたのである。その追憶は尽きないが、特に当大学に一言申し述べたい。当大学の前身である外国語学校の創設に際しての青年会の会議は、この家でおこなわれたのである。従って、外国語学校の誕生とこの家とは深い関係がある。その意味から、早くから当地へ移したかったが、『あんな古いのより、新しい方がよい』という考えもあり、踏み切れなかった。しかし率直に言って理の上から、当然そうすべきであったし、今度、算盤(そろばん)を伏せて実現した。使い方については、学校当局の諸君に任せて何も言い度くない。お願いしたい事は、この家を皆が満足し、喜んで頂けるよう使って欲しい。(中略)今後、この家を永く可愛がって使ってやって欲しい」(『天理大学五十年誌』より)と述べられた。

    創設者生誕100年を期に創設者記念館として開館

    大学へ移転後は、事務所や会議室、交換留学生の宿舎などに使われた後、2005(平成17)年に二代真柱生誕100年を期に、「建学の精神」を宿した意義を持つ建物として、「創設者記念館」として開館した。在学中にぜひ見学してもらいたい所である。

    大阪府下にあったときは、木造2階建で延べ約200坪。天然スレートふきで外側はドイツ壁。移築に当たっては、コンクリート造の地下1階を加えた。

    杣之内キャンパス キャンパスガイド

    南西から見た創設者記念館(若江の家)

沿革

  • 沿革詳細

    1925年2月17日天理外国語学校(男女共学)設立。
    1925年4月15日天理外国語学校(男女共学)開校。
    1927年12月9日天理外国語学校設立。
    1928年1月12日天理女子学院:従来の天理外国語学校を改称。
    1940年3月15日天理女子専門学校設立。
    1940年4月2日天理女子専門学校開校。
    1944年4月1日天理外国語学校から天理語学専門学校に校名変更。
    天理女子専門学校から天理女子語学専門学校に校名変更。
    1946年4月22日天理保母養成所設立。
    1946年5月27日天理保母養成所開所。
    1947年3月31日天理女子語学専門学校廃校(合併)。生徒は天理語学専門学校に編入。
    1947年4月1日天理語学専門学校が男女共学となる。
    1949年2月21日天理大学設立。
    1949年4月1日天理大学開学。文学部設置(宗教学科、国文学国語学科、中国文学中国語学科、英米文学英語学科)
    1950年3月14日天理大学短期大学部設立。
    1950年3月31日天理保母養成所廃所。短期大学部による。
    1950年4月1日天理大学短期大学部開学。
    1950年12月1日天理大学短期大学部から天理短期大学に校名変更。
    1952年4月1日外国語学部を開設。
    1955年4月1日体育学部を開設。
    1957年4月1日天理短期大学から天理大学女子短期大学部に校名変更。
    1959年3月31日天理大学女子短期大学部廃校。
    1992年4月1日人間学部、国際文化学部開設。文学部に歴史文化学科開設。
    体育学部体育学科に3コース制開設。
    2002年4月人間学部に総合教育研究センター、国際文化学部に言語研究センターと地域文化研究センターを設置。
    2003年4月国際文化学部の11学科を「アジア学科」「ヨーロッパ・アメリカ学科」の2学科へ改組。
    2004年4月大学院臨床人間学研究科臨床心理学専攻(修士課程)を開設。
    2010年4月国際文化学部「アジア学科」「ヨーロッパ・アメリカ学科」を国際学部「外国語学科」「地域文化学科」に改組。
    体育学部の3コース制を5コース制に拡充。
    2015年4月大学院体育学研究科体育学専攻(修士課程)と国際学部外国語学科スペイン語・ブラジルポルトガル語専攻を開設。
    2017年4月大学院宗教文化研究科宗教文化研究専攻(修士課程)を開設。
    国際学部外国語学科日本語専攻を地域文化学科日本研究コースに改組。
    2023年4月天理医療大学と統合。
    2024年4月改組。

天理大学ビジョン2025

天理大学は、1925(大正14)年に天理外国語学校として設立され、2025年に創立100周年を迎える。建学の精神を継承し、さらに教育や研究、学生支援等の充実に努め、社会の要請に応えうる大学となるための指針として、「天理大学ビジョン2025」を宣言した。

建学の精神

教祖(おやさま)の教えに基づいて、「陽気ぐらし」世界建設に寄与する人材の養成を使命とする。

育成する人間像

揺るぎない信条を基盤に、多様な価値観に対する理解や世界の現状についての知識をもち、積極的に他者に貢献し、共生する社会の実現に向けて、考え行動できる人間

理念・使命

1925年に創設された天理大学は、2025年、創立100周年を迎える。

この1世紀にわたる時間の中で、本学は社会状況の変化に対応しながら、 建学の精神を揺るがすことなく、ここ天理の地で社会において 有意な人物の育成に取り組んできた。

本学が存在する意義・使命は、建学の精神にある 「『陽気ぐらし』世界建設に寄与する人材の養成」である。

これを現代社会において言い換えるなら、 あふれかえる情報とたえまない環境変化のなかで、思想や宗教などの 精神文化への知識と理解をもとに、他者に貢献する心を持ち、 自らの信念のもと、自分が何をなすべきかを主体的に判断し、 能動的に行動のできる人間を育成することにある。

このような社会のなかでは、精神文化をはじめとする 異文化への理解と寛容さは、重要な資質としてますます重要視されている。
さらに、人を思い、人に寄り添うことのできる利他的な志を持つ人間も、 近年の大きな災害を経験した今こそ、社会で重要な役割を担っている。

そのような思いを備える人間が今日の社会を支え、積極的に活躍すること が求められている。それは本学の「宗教性」「国際性」「貢献性」という 三つの柱と見事に合致する。

創立100周年を迎える2025年に向けて、建学の理念を基盤に、 新たな時代の要請に適確に応えうる大学を実現し、 未来を拓くことのできる人物を育成する。

1.教育について

基本方針

「育成する人間像」を基盤に、自分が何をなすべきかを主体的に判断し、能動的に行動のできる人間を育成する。そのために、教育の内部質保証システムを整備し機能させることによって、教養教育ならびに専門的教育の質および教育方法を継続的に点検・改善し、教育力を向上・強化する。

行動目標

  • 学位授与方針に沿って教育課程の目標を明確化し、具現化することによって教育力を強化する
  • 「宗教性」はもとより、「国際性」「貢献性」を涵養する教育をさらに促進する
  • 高大連携・接続の強化をはかることで、教育効果を向上させる
  • 内部質保証システムのPDCAサイクルを機能させ、教育内容および教育力向上に資する環境を整備する

2.学生支援について

基本方針

学生が個人の特性を活かしつつ、学生生活において学習やクラブ活動などに積極的に取り組むことができ、将来、社会において主体的主導的に活躍できる礎となる時間と場所を提供する。そのため、大学として学生の学習・生活支援を目的とした組織や制度を充実する。

行動目標

  • 学生の修学目標が達成できるように、学習支援体制をさらに整備・強化する
  • 学生の就業力向上に資する教育および就業の支援体制を強化する
  • 修学の基盤となる学生生活について、奨学金制度等の整備も含めて支援体制を強化する

3.研究支援について

基本方針

確かな教育力の基盤は、優れた研究(力)にあるとの考えから、外部研究資金の獲得を含む、研究支援体制を強化する。さらに、研究プロセスを明示化するとともに、研究成果を積極的に公表し、研究の発信力を高める。

行動目標

  • 海外協定校との学術交流も含めて、研究活動の国際連携を強化する
  • 研修休暇制度の整備による、研究力強化をめざす
  • 研究プロセスの明示公開を進めるとともに、研究成果の発信力を強化する

4.社会連携について

基本方針

学問の自由を堅持しつつ、社会的公器である大学として、学術研究および教育の成果を積極的に社会に還元していく。さらに、教育・研究の向上や高度化に資するよう、教育界、地域社会、地方自治体、産業界の諸機関との連携を推進し、社会から支持される大学を実現する。

行動目標

  • 現職教員や学校・教育委員会等との連携をさらに強化し、教員養成機関としての資質を強化する
  • 地域団体・地方自治体との連携強化による、地域社会の活性化を支援する
  • 産業界との連携強化も含めて、産官学連携による社会貢献活動を積極的に進める

5.管理運営体制について

基本方針

学長を中心とした執行部を補佐し、教学マネジメントに必要な情報の収集・分析・課題を検討するためのIR体制を強化する。さらに現行の教学意思決定システムのもと、より迅速かつ着実に執行できる大学運営組織を構築するとともに、併せてSD(職能開発)活動を計画的に実施する。

行動目標

  • 学長・執行部補佐体制を整備・強化する
  • 教職協働体制の構築を含む、事務部局体制を再構築する
  • SDを積極的に推進し、教職員の資質の向上と組織の現場力を強化する
  • 安心安全な教育研究環境を提供するために、施設設備の計画的整備・改善を進める
  • 教育研究環境を安定して支えるため、財務基盤を強化する

関連ページ

大学紹介

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