東乗鞍古墳2024年発掘調査 2024.03.07 人文学部歴史文化学科 # 考古学コース# 民俗学コース

2月13日から22日にかけて、東乗鞍古墳(天理市杣之町)の発掘調査を、天理大学歴史文化学科考古学・民俗学研究コースと天理市教育委員会が共同で行いました。桑原久男教授、橋本英将教授の指導のもと、同コースの学生32人に他大学の6人を加えた総勢38人の学生が参加しました。

今回で7回目となるこの発掘調査は、天理大学と天理市が2014年に結んだ包括的連携に基づき、「天理市内埋蔵文化財の調査・研究に関する覚書」を本学文学部と天理市教育委員会が締結(2017年)したことで、共同調査として天理市内における古墳等の発掘調査を行うことが可能となり、2018年から毎年行っています。
今年は調査期間中に悪天候が続き、最後の埋め戻しや現場の片付け作業が次の週に持ち越しになるなど、さまざまな苦労がありましたが、大きな成果を得ることができました。

調査対象である東乗鞍古墳は、6世紀前半に築造された古墳時代後期の前方後円墳で、後円部には横穴式石室、その内部には阿蘇溶結凝灰岩製(あそようけつぎょうかいがんせい)の刳抜式家形石棺(くりぬきしきいえがたせっかん)と、組合式石棺(くみあわせしきせっかん)の底石が残っている貴重な遺跡です。また、その全長は約83メートルにも及び、全国でも有数の大型古墳です。

今年は、前方部南斜面について調査を継続するとともに、南側の平坦地に調査区を拡張し、東乗鞍古墳の裾と堀の状況を確認することを主な目的としました。
これまでの調査で、東乗鞍古墳は、春日断層から西側に丘陵が伸びる自然の高まりの地形を活かし、そこに盛り土をして前方後円墳のかたちにしたことが分かっていましたが、それが今回の調査でも改めて確認でき、詳細に構造が分かってきました。
また、堀の外側の土手の部分も分かればということで発掘を進め、その結果、ここが外堤であるといえるのではないかということも判明しました。

歴史文化学科 考古学・民俗学研究コース 桑原教授コメント
この発掘調査は、毎年、天理市教育委員会や旭日大教会様など、様々な専門家の方々のご協力をいただきながら、古墳のかたちと構造を調べるための発掘調査を「考古学実習3」としてふさわしいかたちで行っています。今回の調査で周濠と外堤が確認できたことは非常に大きな成果です。天理市教育委員会とは5年に渡って調査を行っており、まさに地域連携という意味でも、そして、史跡指定をめざした範囲確認調査という意味でもとても大切な調査だと思います。また、4月から各地の自治体で文化財専門職員として勤務することが決まっている4年生や他大学の学生など、いろんな学年の学生が参加することでチームワークの大切さも学べ、実習でしか体験できない貴重な機会になっていると思います。

実習に参加した森花月さん(考古学・民俗学2年・伯太)コメント
座学の講義では学べないことが今回の実習にはたくさんありました。実習に入る前は、「なぜ真っ直ぐ掘る必要があるのだろう?」など、いろいろ疑問に思ったことがありましたが、実際に発掘調査に参加してみると、「なるほど」と体感して納得することができ、とてもやりがいのある実習期間となりました。思った以上に土が重く運ぶのに時間がかかったり、竹の根切りに苦労したりしましたが、先輩方や友人たちの力も借りながら実習でしか学べないことが身についたと思います。

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