『月刊大和路ならら』12月号の「新大和人物志」第53回は、岩宮隆司(天理大学非常勤講師)による「漆部造麻呂」(うるしべのみやつこまろ)です。
平安時代のはじめに編まれた『日本霊異記』に漆部造麻呂が登場します。漆部造は漆や漆器の製造をしていた集団につけられた名称であり、漆は水銀と共に顔料にも用いられてきました。その妾(めかけ)は野草を食べて天にのぼったとされています。宇陀にかかわりの深い水銀・野草(薬草)に由来するお話しだったがゆえに、実在していたかどうかはわからないにもかかわらず、リアリティが生まれてきたのでしょう。