比較思想学会第51回大会が本学で開催 2024.07.04 宗教学科教育・研究附属おやさと研究所

6月28日・29日の両日、天理大学2号棟を会場に、比較思想学会(会長=中島隆博・東京大学東洋文化研究所長)が第51回大会(天理大学大会)を開催しました。大会実行委員長は島田勝巳・天理大学副学長が務めました。会員や一般の参加者だけでなく、公開のシンポジウムでは天理大生も多数参加して熱心に聴講しました。2日間の参加者実数は190名以上に上りました。

比較思想学会は1974年に創設された学会で、広く哲学や文化や宗教などを相互に比較し、学際的に探究することを目指す学会です。我が国の比較思想研究の草分け的存在である中村元・東京大学名誉教授が初代会長を務め、以来半世紀にわたって学術的な活動を展開してきました。

今回の天理大学大会では、10本の個人研究発表のほかに、2つのシンポジウムが公開で行われました。

1日目のシンポジウム「宗教文化と比較思想」では、本学の東馬場郁生・宗教学科教授が「きりしたん受容史から見えてくる宗教文化と比較思想の課題」について基調講演を行いました。東馬場教授は、最新の比較宗教学の知見を紹介した後、きりしたん受容を事例に宗教文化の比較研究の課題を提示し、その上で比較思想の方法論について論じました。それを受け、頼住光子・駒沢大学教授が「三輪山神婚譚をめぐる比較思想的考察」について、また酒井真道・関西大学教授が「インド仏教における対話―その意味理解と位置づけ―」について、それぞれパネリスト発題を行い、その後、会場を交えてパネルディスカッションを行いました。コーディネーターは金子昭・おやさと研究所教授が務めました。

2日目のシンポジウム「聖地の思想」では、パネリストとして3名の研究者が登壇。加藤みち子・武蔵野大学特任教授が「聖地としての紀伊半島」について、中山郁・皇學館大学教授が「聖地を拓くということ」について、そして本学の岡田正彦・ 宗教学科教授が「宗教都市・天理と『ぢば』」について、それぞれパネリスト発題を行いました。岡田教授は、聖地「ぢば」が天理教において人間創造の元の地点として独自の意義を有することを紹介し、天理という宗教都市がどのように形成されてきたについてスライドを用いながら説明しました。3名の発題後、会場を交えて質疑応答が行われました。コーディネーターは、板東洋介・東京大学准教授が務めました。

1日目には、会員を対象に天理図書館の見学会が行われました。森山恭二・事務長の案内により、登録有形登録文化財である図書館の建物、また国宝・重文を含む150万冊の蔵書について紹介を受け、展示室で貴重な書籍を見学しました。

(文責・金子 昭)

関連リンク

ページ先頭へ