《公開講座記録》【人文学へのいざない】第5回 今から始める「人生会議(ACP)」ー自らが希望する医療・ケアを受けるためにー 2024.07.04 社会連携生涯学習公開講座記録

《公開講座記録》【人文学へのいざない】第5回

●2024年6月22日(土) 午後1:30
●テーマ:今から始める「人生会議(ACP)」
 ー自らが希望する医療・ケアを受けるためにー
●講師  吉田 初恵(社会福祉学科 教授)

1.アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、愛称『人生会議』をご存じですか。

『人生会議(ACP)』とは
これからご自身が受ける医療やケアについて、自分の考えを家族や近しい方、医療・ケアチームと繰り返し話し合い、考え、「心づもり」として書き留めたものを周囲と共有する、という、ご自身の意思決定を支援する手順のことです。あなたは今後どんな生き方をしたいですか。大切な人にどんな生き方をしてほしいですか。

あなたや大切な人が自分らしく生きるために
将来、病気になったり介護が必要になったりしたとき、あなたが自分らしく暮らすために、どんなことを考えて備えればいいのか、この講座では、具体的なACPの進め方などについてご紹介します。

2.これからも自分らしく暮らしていくために、どんなことを大切にしていきたいですか

住み慣れた家でずっと暮らしたい。愛犬と一緒に散歩を楽しみたい。毎朝飲むコーヒーをこれからも続けたい。趣味の将棋を指し続けたい。続けたいこと、やりたいこと、たくさんありますよね。でも、今考えた中に「医療・介護」のことはありましたか。医療や介護についても、「してほしいこと」「してほしくないこと」などありますよね。これからも自分らしく暮らすためには、医療・介護についても、今のうちから考えておくことが大切です。

3.自らが希望する医療・ケアを受けるために

誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。命の危機が迫った状態になると、約70%の方が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりできなくなると言われています。
どこで、どのような医療・ケアを望むかを、自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと共有する取組こそ「アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACPという。)」です。自らが希望する医療やケアを受けるための大切なプロセスになっています。

迷ってもいい 考えてみよう医療と介護
「医療・介護」について考えることが大切です。迷ってもいいので、医療や介護のことは身体が元気なうちから考えておくことが大事です。“そのとき”がいつ来たとしても今のうちから準備をしておけば、慌てず後悔しない行動ができるはずです。自分の好きなこと、大切なこと、人生観や価値観、生きがいを思い起こしつつ今から準備をはじめましょう。今はまだ元気な50代、60代の方も、個人差はあるものの、これから年齢を重ねるにつれ、少しずつ心身の衰えが進んでいきます。ですから、できるだけ、あなた自身やあなたの大切な人が元気なうちに、少しずつ考えておくことが大切です。

4.具体的な『人生会議(ACP)』の進め方

STEP1 治療する際に、大切にしたいことを考えてみましょう。
あなたが大切にしていること、望んでいることを考えてみましょう。今のあなたの思いを示しておくことは、将来的に家族などがあなたの気持ちを考慮して判断をおこなう際に役立ちます。
STEP2 もしものとき、あなたの思いを伝えてくれる人を選びましょう。
もしものとき、あなたが自分の意思を伝えることができなくなった場合に、あなたに代わって意向を伝えてくれる人を選んでおきましょう。どのような時でもあなたの希望を尊重できる、信頼できる人を選びましょう。
STEP3 かかりつけ医に質問してみましょう。
あなたの健康状態、病気の場合は病名や病状、今後予想される経過や必要な医療・ケアについて、かかりつけ医に質問し、健康について学び、考えてみましょう。
STEP4 希望する医療やケアについて話し合いましょう。
医療・ケアや生活に関する希望や思いを、家族・代理人・医療者等と話し合い、理解してもらいましょう。
STEP5 書き留めておきましょう。
話し合った内容は記録として書き残し、周囲と共有しておきましょう。
結び
希望や思いは、時間の経過や健康状態によって変化していくものであり、一度で決まるものではありません。大切な人のために、もちろんご自身のためにも、STEP1からSTEP5を参考に何度も繰り返して考え、話し合いましょう。

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