医療学部臨床検査学科教授 近藤 明
現在の生命科学は、遺伝子を扱う分子生物学が花盛りです。この分子生物学の手法を使って、病気との関係を調べてみると、遺伝子の異常から説明できる病気は案外少なく、むしろ遺伝子以外の要因で病気が発症してくる場合が多くみられます。これを多因子疾患と言います。そして、この多くが遺伝子の翻訳後修飾に関連しており、プロテオミクスと呼ばれる手法を用いて、近年病気との関連性が盛んに研究されるようになってきました。本研究室でもこの翻訳後修飾を主に研究しています。タンパク質の酸化、糖化、γ-カルボキシル化などです。
肝癌の原因の多くはC型肝炎ウイルスによりますが、今では肝炎の段階で薬物治療をすれば、100%近くの患者さんが治る時代になってきました。しかし、一旦肝癌にまで病気が進行してしまうと、なかなか治すことが難しい病気です。そこで、肝臓の状態を簡単な血液検査によって、診断できないかと、肝臓が作り出すタンパク質の翻訳後修飾を調べ、病気との関連性を研究しています。