【人文学部クロストーク&教員コラム】人文学部教員コラム2 地域活性化のヒントは戦国武将!? 2023.07.06 人文学部宗教学科国文学国語学科歴史文化学科心理学科社会教育学科社会福祉学科 # 人文学部クロストーク&教員コラム

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歴史文化学科教授・天野忠幸

戦国武将たちの武勇伝、それ本当ですか?

図:江戸時代の浮世絵に描かれた三好長慶

私たちが日頃、マンガやテレビを見たり、スマホでゲームをしたり、休日に遊びに行ったりする中で、戦国時代をテーマにしたものに触れる機会が多いと思います。中でも様々な逸話に彩られた戦国武将は、偉人として、または話のネタとして、印象に残っているのではないでしょうか。しかし、その多くは江戸時代に創作されたもので、実像とかけ離れたものです。
本当の姿に迫るためには、古文や漢文の知識も動員して、戦国時代の手紙や日記を読んでいかねばなりません。私が研究テーマとしている三好長慶は、かつては保守的な人物とされていましたが、室町幕府の枠組みを越える戦国最初の「天下人」とも言える存在だということがわかってきました。長慶に取り立てられた松永久秀も、裏切り者の象徴とされ、忠誠や義理から縁遠い武将とされてきましたが、実際は三好氏に忠節を尽くす、義理人情に篤い性格でした。また、革命児ともてはやされ、破天荒なイメージが持たれてきた織田信長は、実はとても常識があり、生真面目な性格であるということも知られるようになってきました。

戦国時代は、赤松洞松院や今川寿桂尼など、女性の大名も活躍した時代です。三好氏の京都での活動も、阿波出身の撫養阿古女の金融活動に支えられていたのです。

こうした成果は、実際にドラマやゲーム、観光にフィードバックされつつあります。

シビックプライド(Civic Pride)を育む

三好長慶が居城とした芥川城(大阪府高槻市)と飯盛城(大阪府大東市、四條畷市)が、近年、国史跡に指定されました。かつては姫路城や大坂城など石垣の城ばかりが人気でした。しかし、ブラタモリなどのテレビ番組で、地形に刻まれた高低差が注目され、現在では堀や土塁で作られた戦国時代の土の城も脚光を浴びています。

このような戦国の城郭は、単に過去の歴史がわかるだけでなく、今や「都市に対する市民の誇り」として位置づけられ、保存活用が図られています。そこには、単なる町の自慢や郷土愛を越え、自分が生活する地域をより良い場所にするため、自分自身が主体的に行動してかかわっていくものという意味が込められています。「まちづくり」に歴史文化は欠かせないものとなっています。

飯盛城の国史跡や保存活用計画の策定に、私は古文書など文献史学の立場でかかわっていますが、発掘など考古学的な調査をしているのは、市役所の生涯学習課に勤務する本学の歴史文化学科の卒業生です。天理大学に集った者が一緒に仕事ができるのは、素敵なことだと思います。

図:国史跡飯盛城跡の英文パンフレット

気分転換に

教科書を読むのにちょっと疲れたら、リフレッシュに『小学館版学習まんが日本の歴史』全20巻(小学館、2022年)がオススメです。マンガと侮るなかれ、ちゃんと理解しようとしたら、大学生でも一筋縄ではいかないかも?

天野教授の著書

もっと知りたい人のために

  • 天野忠幸『三好一族 戦国最初の「天下人」』(中央公論新社、2021年)※本書は『小学館版学習まんが日本の歴史』の参考文献となっています。
  • 天野忠幸監修『飯盛城主・三好長慶と大東の歴史 ~戦国時代編~』(大東市産業・文化部生涯学習課、2022年)

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