
5月28日、天理大学歴史文化学科で歴史学・考古学・民俗学を学ぶ2・3年次生約30名が、「文化財行政学」の授業の一環として、杣之内キャンパスのすぐ近くにある「なら歴史芸術文化村」(奈良県天理市)の文化財修復展示棟を見学しました。
歴史文化学科の必修科目である「文化財行政学」は、「文化財保護法」に基づき、どのような文化財が指定され、どのように保護されているのかを、奈良県内の事例を中心に学ぶ授業です。
本科目では講義に加え、大学周辺の文化財や附属天理参考館の見学など、歴史文化が色濃く残る奈良の地域的特性を活かしたアクティブラーニングを取り入れています。
見学当日は、文化財修復展示棟1階の見学からスタートし、藤元正太主任研究員より、「なら歴史芸術文化村」が仏像などの彫刻、絵画・書跡、歴史的建造物、考古遺物の4分野にわたる修復現場を通年公開している、日本で初めての施設であることについて説明を受けました。また、「文化財は国民共有の貴重な財産である」との解説もありました。
「歴史的建造物修復工房」および「考古資料修復工房」の見学では、同施設における修理の基本的な考え方として、「可能な限り本来の部材を活かす」ことが重視されている点が紹介されました。学生たちは、建物を新しく作り替えるのではなく、強度を補いながら既存部分を残す修復方法について理解を深めました。
さらに、外部から見えない箇所の修復にはあえて現代の器具を用いる場合があること、その理由としてコスト面だけでなく、将来において修理の履歴を明確に残す意義があることも説明されました。


その後、地下1階に移動し、「絵画・書跡」および「仏像等彫刻」の修復工房を見学。各工房では学芸員から具体的な事例を交えた説明が行われ、学生たちは文化財修復の現場や技術への理解を一層深めました。
修理工房の見学を終えた学生たちは、さらに、開催中の「仁王さんと當麻曼荼羅」を見学し、金剛力士立像(吽形像)や曼荼羅など、修理が終わった貴重な文化財の実物に触れました。
今回の見学を通じて、学生たちは文化財修復の実際の現場に触れながら、地域の文化財を守り伝える現場を体感する貴重な機会を得ました。
天理大学歴史文化学科では今後も、奈良・天理という立地を活かし、地域の文化資源と連携した教育を通じて、文化財保護の現状と課題を主体的に理解できる学びの機会を提供していきます。
学生コメント
杉山 勇太郎さん(歴史文化学科民俗学コース2年次生・天理高校出身)
実際に文化財の修復現場を見学し、授業で学んでいる内容がどのように現場で実践されているのかを具体的に理解することができました。特に、「文化財が国民共有の財産である」という説明を受け、これまで以上に文化財を身近に感じるようになりました。教員を志望している自分にとっても、今回学んだ内容は今後に活かせると感じました。また、現地に足を運んだからこそ感じられる雰囲気や、実物を見ることで得られる学びの大きさが実感できました。