第3回「CONNECT研究会」開催 2024.12.20 全学教育推進機構総合教育センター人文学部社会福祉学科教育・研究6つのCONNECT学部学科とつながる

12月17日、第3回「CONNECT研究会」が、天理大学杣之内キャンパス本館第3会議室にて開催されました。

「CONNECT研究会」は、全学教育推進機構 学際的教育研究センターが主催する研究会で、創立100周年を機に各学部学科の教員がそれぞれの研究分野における発表を行い、意見交流を通じて、学問分野を超えた新たな気づきやアプローチの発掘を目指そうと、毎月、開催されています。

第3回となった今回の研究会では、人文学部社会福祉学科の深谷弘和准教授が、「障害福祉現場における対人援助職のメンタルヘルス-新自由主義政策の影響に注目して-」と題した研究発表を行いました。

深谷准教授は、冒頭、バーンアウト(燃え尽き症候群)と呼ばれる症状について説明し、「情緒的消耗感」「個人的達成感の低下」「脱人格化」の三つの症状がバーンアウトの特徴であると解説しました。

またバーンアウトは対人援助職だけに限らず、そのほかの職業分野でも起こりうる心身症状であると言及したうえで、対人援助職においてバーンアウトが起こる状況を具体的な事例を以て説明しました。

続いて、バーンアウト予防としてのストレスマネジメントについて話題を展開し、ストレス対処行動であるストレスコーピングの重要性について解説しました。また、バーンアウト診断テストである「日本版バーンアウト尺度(JBS)」を紹介し、参加した教職員も診断テストを実施し、理解を深めました。

研究発表の後半では、対人援助職のメンタルヘルスの源流を探るとして、障害者福祉の現場における実態調査と、新自由主義が及ぼした影響について考察を述べました。

深谷准教授は、障害者福祉の現場において新自由主義がもたらした影響として、利用者がサービスを選べる状況になったことやサービスの質の向上が見られたことを挙げるとともに、一方で、障害者福祉に従事する対人援助職の働くことへの満足度やメンタルヘルス不調に影響を与えている可能性について言及しました。その上で、新自由主義政策の影響による福祉労働の変質について自身の仮説を述べました。

研究会の最後には、質疑応答の時間が設けられ、「エッセンシャルワーカーに限らず教育現場でも起こり得る構造ではないのか」「新自由主義と社会福祉の矛盾点について」など、熱心な意見交換・質疑応答が行われました。
「障害福祉現場における対人援助職のメンタルヘルス」というひとつのテーマの下、異なる専門分野の教職員がさまざまな角度から意見を交わす充実した研究会となりました。

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