「国文学演習(近代)」って、どんなことをしているの?
天理大学文学部の国文学国語学科のカリキュラムは、国文学・国語学の両方の分野をバランスよく学べる構成になっています。
今回は、3年次に開講される国文学演習(近代)を紹介します。
本学科では3年次になると、国文学・国語学のそれぞれの時代・分野から複数を選び、本格的な演習形式の科目を受講します。こうした演習をつうじて、自身でテーマを設定すること、そのテーマを深く掘り下げて考察することを実践します。おおくの受講生がこの授業をつうじて、4年次に取り組むことになる卒業論文のテーマをみつけることになります。
とくに演習で身につけたいのは「主体的に考える力」「考えを発信する力」「他者と対話する力」。これら社会生活を営むうえで必要な力を、専門的な知識を身につけるとともに培っていきます。
では、国文学演習(近代)の授業をのぞいてみましょう。
この日は、受講生全員で選んだ作品、オスカー・ワイルド『幸福な王子』をとりあげて、発表をおこなっていました。
取りあげる作品にまつわるさまざまな情報、たとえば作者にかんすること、その作品が書かれた歴史的背景、作品に対する評価等を調査し、資料にまとめて発表します。
また、この授業では発表者だけでなく、司会進行も、受講生の意見や感想をまとめて板書する書記も、受講者で分担します
発表・司会・書記の担当ではない受講生も、積極的に自身の考えを伝えます。
ときにはそれぞれの作品の解釈が異なるために、議論が白熱することも。
すべての受講生が、作品を熟読し、自身の考えをまとめておくという予習をしているからこそ、こうした議論が成り立つのです。
受講生からは「ひとつの作品から、受講生それぞれがいろいろな思想や考えを読み取って、それを話しあうのが楽しいです。」(Nさん)、「今回の授業では、王子の行為が自己満足ではないかという意見と、真の思いやりや愛情を幸福とみなして行動したという意見とがぶつかりました。もっと時間をかけて議論してもよい内容だと思います。」(Tさん)、「自分の考えを他者に伝えることの難しさをあらためて感じました。適切な根拠をもとに自分の意見が伝えられるスキルを身につけたいです。」(Oさん)などの声が聞かれました。(人文学部国文学国語学科 西野由紀教授)