【まちの保健室 後篇】病気を治すだけが、看護じゃない。 防災支援と看護の深いかかわりとは?

前回の記事「【まちの保健室 前篇】検査で必要なのは、コミュニケーション。
呼吸機能検査(スパイログラム)で気づいた大切なこと」
でも紹介した、医療学部が行う地域における健康支援の取り組み「まちの保健室」。

今回は医療学部 看護学科の鈴木あゆみさんをナビゲーターに、
健康と防災支援についての深いかかわりについて聞きました。

※学年は、2024年3月時点での情報です。

「まちの保健室」では、天理市民の健康状況や健康教育の理論などを授業で学んだうえで、学生が主体となって出展ブースの内容を企画します。

看護学科の鈴木あゆみさんのグループが担当したブースのテーマは、「防災」。
どんな内容のブースなのでしょうか?

災害時の備えを紹介するブースです。防災バックの必要性や南海トラフ地震などへの備え、避難経路や場所を把握するきっかけになればと思って。天理市の人口や年齢分布、疾病情報を調べ、そのうえで特に高齢者をターゲットとした内容のブースにすることをメンバーと話し合って決めました。

看護と防災というと一見そこまで関係がなさそうに思えますが、なぜ防災なのでしょうか?

一般には、看護というと病院の仕事のように思う方が多いかもしれません。ただ、実は看護の対象は病気を持っている人だけではなくて、健康な人が病気にならないようにすることも目的のひとつです。その視点で考えると、災害時でも健康を守れるようにするうえで看護は大きな役割を担うんです。看護学科の座学にも「災害看護論」という、災害時の看護について取り扱う授業があります。

なるほど、非常時の怪我や病気の予防という意味で、看護は欠かせないですよね。ブースの企画や運営を行ううえで、どんなことに気をつけましたか?

私自身は大きな災害を経験したことがないのですが、災害時の緊迫感を感じてもらえるような演出を心がけました。例えば、地震などが起きたときは素早く避難する必要があります。三十秒で防災バッグを手に取る状況を想像してもらいやすく演出しながら、看護ならではの視点で常備薬や解熱剤などを防災バッグに入れておいたほうが良いこと、怪我をしたときはビニール袋が手袋代わりや固定する材料になることを伝えました。

ここで、今日のDISCOVERY

看護の視点で、命とくらしを守りたい。

看護は生命にかかわる職業です。災害時の看護やサポートを考えることは、その実感にも繋がりそうですね。

ブース企画・運営で感じたのは、命を守ることが一番だということです。災害が起きたときにはパニックになることもあって、あれもこれもと思いがちです。危険な場所だとしても家に戻りたい、何かを取りに行きたいという気持ちもよく分かります。でも、大原則は「命第一」です。今回のイベントで地域の方を前に説明したことで、私自身もその実感が強まりました。

参加者の皆さんにとっても、良い気づきのきっかけになったのではないでしょうか。

参加者から「防災バッグを買わなければと思った、家族と避難経路について相談したい」といったコメントをもらったこと、そして、自分たちのブースが少しでも日ごろの備えへの動機付けにつながったことがとてもうれしかったです。卒業後は天理よろづ相談所病院に就職し、看護師として勤務します。地域の方とのかかわりのなかで痛感した、命を守る職業に就くことへの責任を胸に、皆さんの健康をサポートしていきたいと思います。

天理大学では、学生が地域の方とのかかわりを通じて学びを深め、
社会貢献活動のなかで「DISCOVERY(気づき)」を得られる機会を提供しています。

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