SOSを見逃さない。幼稚園実習を通じて学ぶ子どもの「発達」。

ふと忘れてしまいますが、私たちは生まれたときから「大人」だったわけではありません。
では私たちの心はどんなプロセスを経て成長していくのでしょうか?

今日のナビゲーターは、人間学部人間関係学科臨床心理専攻 の橋尾映里奈さん。
「心理実習」の実習先である天理幼稚園にて、
どんな"DISCOVERY"があったのか聞きました。

※学生の学部学科専攻等の所属表記は、入学当時の名称となります。
※学年は、2024年3月時点での情報です。

心について深く理解することで、心の痛みや悩みに寄り添い、より良い社会づくりをめざす心理学の学び。
相談者に対して専門知識に基づいたアドバイスを行う「公認心理師」の資格を取得するためには、大学院進学に先駆けて4年次の校外実習が必須です。
どんな場所で実習を行うのでしょうか?

病院、児童養護施設、カウンセリングルーム、幼稚園の4つの施設で行います。

病院や養護施設以外に、幼稚園にも行くんですね。

はい。心理学には「発達心理学」という分野があって、子どもが何歳でどんなことができるようになるかを発達の面から考えていきます。例えば、「ごっこ遊び」をした記憶は誰にでもあると思うのですが、役割やルールを決めたり、想像力を使って遊んだりできるのは平均的に4、5歳からで、すごく小さなうちはできないものなんです。

なるほど、最初からできるわけじゃないんですね。

一般的に、発達に難しさを感じている子どもを早期に診断することはとても難しいとされているのですが、現場でさまざまな子どもと触れ合うことで、できることやできないことがひとり一人それぞれ違っていることがよく分かります。何か問題を抱えているのかな?と感じるときでも、周囲と変わらずに声をかけたり公平に接したりすることの大切さを実感できる、とても有意義な実習です。

ここで、今日のDISCOVERY

「泣く」ことは、SOSの気持ちを伝える表現。

天理幼稚園での実習では、園長先生の言葉から大きな気づきを得たそうですね。

園長先生が「泣く子も褒めたい」とおっしゃっていたのが印象に残っています。泣いている子どもがいると、単にどうしたのかな?と心配しがちですが、実は「泣く」行為は心の状態を相手に伝える行動なんですよね。心の声を発信して、誰かに頼る気持ちを表すことでもあります。逆に言えば、泣かない子どもはSOSに気づいてもらいにくいということだと思うんですね。

卒業後は、公認心理師・臨床心理士の資格取得をめざして大学院に進学するとのことですが、どんな目標がありますか?

今の社会では辛くても声を上げにくい現実があって、どうしても辛さや問題を察してほしいと受け身になりがちです。ひとり一人がSOSを出しやすい環境を心理職として整えることで、異変にいち早く気づき、支援につなげられるようにしたいと思っています。
天理大学の心理学科には、幼稚園のほかにも、中学校や養護施設でのアルバイトを通じて、思春期の子どもたちの心理サポートについて考える機会が豊富にありました。こうした経験を活かして、進学後もしっかり勉強したいです。

天理大学では、学生が地域の方とのかかわりを通じて学びを深め、
現場での実習を通じ、「DISCOVERY(気づき)」を得られる機会を提供しています。

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