腰痛直しに御利益あり。山の辺の道に佇む「ぽっくり地蔵」にまつわる伝承とは?

歴史文化学科が主催する「山の辺の道を歩く」。
日本最古の道と呼ばれる「山の辺の道」周辺の史跡や民俗事例を調べたうえで、独自のパンフレットを作成し、現地で解説するユニークな課外授業です。

今日のナビゲーターは、文学部歴史文化学科考古学・民俗学研究コースの山口洋平さん。
参加を通じ、どんな"DISCOVERY"があったのか聞きました。

※学生の学部学科専攻等の所属表記は、入学当時の名称となります。

天理大学のキャンパスからほど近い山の辺の道は、『古事記』・『日本書紀』にも記される古い道です。水田や果樹園が広がるルート沿いには、大神神社(おおみわじんじゃ)や石上神宮(いそのかみじんぐう)などの古い神社、また初期大和王権に関わる古墳が点在しています。
さて、この辺りといえば古墳がたくさんあるイメージですが、実は「民俗学」の視点から見ても重要な場所だとか。
でも、そもそも「民俗学」っていったいどんな学問なのでしょうか?

地域で伝えられてきた伝統的な生活・伝承文化を研究する学問です。例えば、地域で続くお祭りや昔話などもその対象になります。僕は歴史文化学科でこの民俗学を専攻しています。

なるほど!山の辺の道には、どんな言い伝えが残っているのでしょうか?

いろいろあるのですが、今回僕が調べたのは「腰痛直しのお地蔵さん」についてです。

腰痛直しですか?随分ピンポイントなお願いを叶えてくれるお地蔵さんですね。

そうですね。正式な名前は船渡地蔵(ふなとじぞう)といって、ぽっくり地蔵という名前でも親しまれています。詳しい年代は不明ですが、昔からこの地蔵にまつわる伝承が残っています。あるとき村の事情で、村内にあった地蔵を別の場所に動かすことになったんですね。何人かで運んでいたのですが、山の辺の道のある場所で、お地蔵さんが急に重くなって動かせなくなってしまった。さらに運んでいた人たちの腰痛が悪化して、これは地蔵を動かしたらあかんとちゃうかと。そこで、その場で地蔵を祀ったら痛みがすっかり和らいでいった——そんな逸話が現在まで語り伝えられているんです。

ここで、今日のDISCOVERY

その場に行ってみて、初めて掴める雰囲気がある。

小さな頃から時代劇が好きで、歴史に広く興味を持っていたという山口さん。
歴史文化学科への入学後は現地に行って情報を集める、そんな民俗学に惹かれたそうですね。

もともと本を読むのがすごく好きなんです。でも、読んで情報を得るだけでは分からないこともあります。今回の「山の辺の道を歩く」では、事前に「考古学・民俗学研究入門2」でリサーチをしたうえで現地に赴いたことで、その伝承を形づくってきた場所の雰囲気を掴むことができました。フィールドワークに行くと、景観は変わっても、変わらない土地の息づかいに気づけるのがとても新鮮です。

最後に、民俗学の魅力を教えてください。

民俗学では色んなテーマを自分で設定できるので、地域に伝わる伝説や祭りだけではなく、例えば「キムチの民俗学」や「アニメの聖地巡礼」といった現代的なテーマで卒論を書く人もいます。
フィールドワークを通じて各自の関心を深掘りできる面白い学問なので、興味を持った人はぜひ天理大学で一緒に学びましょう。

天理大学では、学生が学内外のフィールドで「DISCOVERY(気づき)」を得られる機会を提供しています。

参考:山の辺の道について

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