崩れた「くずし字」にはワケがある?博物館で知る、現代との共通点。

『枕草子』や『源氏物語』など、数々の文学作品が創作された平安時代。
舞台になった場所を訪れ、実際の資料を見ることで、理解がぐっと深まります。

今日のナビゲーターは、文学部国文学国語学科の山口穂佳さん。
中古文学ゆかりの地を訪ねる「輪講」を通じ、どんな"DISCOVERY"があったのか聞きました。

※学生の学部学科専攻等の所属表記は、入学当時の名称となります。
※学年は2024年3月月時点での情報です。

中古文学(平安時代の文学)について、自主的に調査して発表し合ったり、ゆかりのある土地に足を運んだりする、天理大学独自の取り組み、その名も「輪講」。輪講では、どんな活動をしているのでしょうか?

輪講は課外活動で、授業よりもフランクな雰囲気で仲間と学びを深められる学生主体の研究グループです。中古輪講のほかに、時代やテーマで萬葉輪講や小説輪講などに分かれています。各グループでは学科の先生が顧問としてアドバイスもしてくれるので、卒業論文を書くときにもすごく役に立ちます。

平安時代の文学と言えば、『源氏物語』や『枕草子』など、教科書に載っているような有名な作品が数多くありますよね。中古輪講では、作品にゆかりのある場所として、どんなところに行きましたか?

これまで京都宇治の源氏物語ミュージアムや名古屋、伊勢といった場所に行きました。特に印象に残っているのは伊勢です。

三重県の伊勢市は、中古文学と縁の深い場所なのでしょうか?

そうですね。『伊勢物語』というタイトルにもなっていますし、有名な伊勢神宮をはじめ、斎宮歴史博物館という県立の博物館もあるんですよ。伊勢へ行ったときは、あわせて名古屋の徳川美術館へも行きました。

博物館や美術館で目にしたもので、印象に残っているものはありますか?

徳川美術館では刀の展示が面白かったです。それから学科の授業でくずし字を学んでいるので、展示してある書物は読めることもあるんです。

くずし字って、掛け軸に書いてあるような、あのにょろにょろした文字ですか?

はい。「くずし字」は、主に江戸時代以前の日本で使われてきたもので、一画ごとにきちんと書く楷書とは違って、書きやすく省略した文字のことです。

すごい!山口さんは、古い時代の書物を何でも読めるんですね!

全部は読めません!(笑)実は研究者でも完璧には読めないこともあるんですよ。

ここで、今日のDISCOVERY

くずし字にだって、クセが出る。

美術館や博物館で飾ってあるからと言って、全てが公式な文書とは限りません。例えば、友達に当てた手紙もあれば、恋文もあるし、家臣に褒美をやる、といったものもあります。今の私たちでもそうですが、オフィシャルな文章を書くときと仲の良い誰かに手紙を送るとき、恋文を書くときでは気持ちも違うし、急いでいればメモに殴り書きしてしまうことだってあります。それから字が上手い・下手もあると思うのですが、昔の人も同じです。

言われてみれば確かに。文字のくずし方にも、性格や想いが出るんですね。

附属天理図書館にも国宝や貴重な資料などが数多く所蔵されていますが、キャンパスを出て歴史の舞台になってきた各地に赴いて、先生の解説付きで見たことのなかったものを目にするのは本当に勉強になります。
中古輪講では、先生の知り合いの骨董屋さんに寄って、掛け軸のコレクションを見せてもらうこともできました。当時の息づかいが感じられる時間が楽しいです。
あまり上手とは言えない、くずし字の殴り書きもそうですよね。その人の感情や生き方がふと見えてくる瞬間に、中古文学がぐっと身近になるんです。

天理大学では、学生が知への探求を通じ、
「DISCOVERY(気づき)」を得られる機会を提供しています。

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