
「東京2025デフリンピック」において、日本選手団として初めてレスリング競技に出場し、「フリースタイル65kg級」と「グレコローマン67kg級」の代表を務めた天理大学レスリング部の久米田忠裕選手(体育学科4年次生・天理教校学園高校出身)が、7月8日、奈良県立ろう学校で講演を行いました。
今回の講演は、同校から「挑戦の背景や競技生活、デフリンピックでの経験を聞くことで、生徒たちに卒業後もスポーツや好きなことを続けるという選択肢を知り、自分らしい生き方を考えるきっかけにしてほしい」との依頼を受け、実現したものです。
講演の冒頭では、この日のために練習した手話で自己紹介を行い、会場は和やかな雰囲気に包まれました。続いて、自身の生い立ちや小・中学校時代の思い出をユーモアを交えて紹介し、生徒たちの緊張をほぐしました。
久米田選手は、「自立したい」という思いから寮生活ができる天理教校学園高校へ進学し、兄の姿に憧れてレスリング部へ入部。当初は厳しい練習や1日4回の食事に苦労したものの、「試合で結果が出るようになると、レスリングがどんどん楽しくなりました」と当時を振り返りました。
高校卒業後は恩師の勧めで天理大学体育学部へ進学し、レスリング部で競技を継続。全国大会での入賞を経て自信を深め、競技に打ち込む中でデフリンピック日本代表に選出されました。
デフリンピックへの出場については、「家族や友人、恩師、仲間など、多くの方々の支えがあったからこそ実現できました」と感謝を述べ、「大会への参加を通して視野が広がり、競技者としてだけでなく、人としても大きく成長できました」と語りました。
講演の最後には、「忘れないでほしいのは、人を頼る勇気です。勇気を出して一歩踏み出せば、思っているよりも道は開けます。そして、そのときに出会う人とのつながりが、皆さんの人生を支える大切な財産になります」と、生徒たちへ力強いメッセージを送りました。
講演後にはレスリング体験会も実施され、競技の基本ルールや「握手で始まり、握手で終わる」という礼儀について説明しました。男子生徒数名が実際にタックルなどの技に挑戦し、久米田選手が直接受けて指導する場面では、会場は大いに盛り上がりました。


講演と交流を終えた久米田選手は、「手話の世界のあたたかさと、まっすぐに思いを伝える文化の魅力を強く感じました。そして、『伝えること』の大切さを改めて実感しました」と感想を語りました。