歴史学研究コースでは、これまで、天理市内の文書を借用して学生とともに整理に当たり、目録を発行し、地域の文化財の保存に貢献してきています。これまで東井戸堂町(2014年)、渋谷町(2016年)、北菅田町(2017年)、檜垣町(南檜垣、2018年)、小田中町(2019年)の調査報告書を作成しました。本年度は、谷山正道元教授が卒業生の岡島永昌さんの調査・研究に協力する形で研究室にお預かりしていた桜井市・高瀬家の文書目録をまとめました。
谷山元教授の序文のほか、報告書の内容は以下の通りです。
藤堂領高瀬家文書の調査と考察 岡島永昌
高瀬家文書の宗教関係史料について 幡鎌一弘
地方名望家としての高瀬元三—生田小学校関係史料を中心に— 黒岩康博
文書目録(約5,200点)
岡島さんは、文書の全体像と藤堂藩の大庄屋として高瀬家が果たした役割を明らかしました。幡鎌は同家所蔵の宗門改帳や八講祭の行事次第、黒岩康博准教授は生田小学校の創設関係の史料をまとめています。
文書目録のもとになった調書は、岡島さんと谷山元教授が中心になって作成していたものです。約5,200点という点数はこれまでの報告書に比べてとても多くなりました。授業でこの史料を扱うことはありませんでしたが、2020年春学期、コロナ禍のために対面で史料実習が行えない期間に、履修学生が課題としてこの調書をパソコンに入力したので、今回、発行にこぎつけることができました。コロナ禍における学修の成果です。(幡鎌一弘)
