2023年度第20回「国際参加プロジェクト(タイ王国)」現地活動(2月12日~29日)報告 2024.04.29 学生生活国際体験国際参加プロジェクト社会連携ボランティア活動

1 タイでは二度目となる第20回プロジェクトの概要

2023年度、第20回「国際参加プロジェクト」の現地活動が、昨年に引き続きタイ王国にて、2024年2月12日から29日までの18日間にわたって行われました。人間・国際・体育・医療学部より、1年生から4年生までの11名の学生が参加し、マハーサーラカーム、チェンマイ、バンコクの3つの都市で、小学校、中学・高校生、大学生、孤児院などを含めて、約380人のタイ人生徒・学生に対して教育支援活動を実施しました。活動では、タイ語による劇とクイズを通して日本語と日本文化を教育し、折り紙を使った記念品づくりを通してタイの子どもたちと交流しました。

また、タイ人学生と日本人学生が共同で、タイの小学校等で特別な教育支援活動も展開しました。このプロジェクトは、タイ人と日本人学生そして授業を受ける多くのタイ人生徒にとって、言語を超えた友情と異文化理解を促進することを目的としており、日本語教育と日本文化の紹介を通じて、両国の未来を担う子どもたちに新たな視野を開く機会を提供しています。日本の伝統と現代文化を組み合わせた教育プログラムは、国際的な視点を持つことの重要性を子どもたちに教え、両国の学生たちにとって刺激的な学びの場となり、世界に開かれた心を育てることに貢献しています。

2 共同ボランティアによる教育支援活動

① 劇班 日本語教育劇「アルンくんの言葉の旅」
劇班では、タイ語の劇を通して日本語と日本の文化を教える教育活動を行いました。劇は、タイ人少年のアルン君とカイちゃんがドラえもんに登場するタケコプターを拾って日本に行くというお話で、ドラえもんとピカチュウが着ぐるみで登場し、「こんにちは」「ありがとう」「わたしの名前は〇〇です」「いただきます」「さようなら」など、簡単な日常会話を学びながら、日本のあいさつ、食文化などを学びまました。タイの子どもたちが前に出てきて一生懸命に日本語を話してくれる姿が印象的でした。

② クイズ班 日本の四季、日本文化紹介
クイズ班では、常夏の国タイで暮らす子どもたちに、日本には4つの季節があることを、季節ごとにテーマとなる物事についてクイズ形式で紹介しました。春には桜、夏には花火、秋には祭り、冬は正月と、日本の四季とそれにまつわる日本文化をクイズにしました。3択クイズでは、正解が発表されるたびに大きな歓声があがり、とても盛り上がりました。ただクイズを出すのだけではなく、日本人がどうして桜を大切にするのか、花火やお祭りにはどのような文化的意味があるのかなど、日本人の生活文化を紹介する内容にして、日本に興味を持ってもらえるよう工夫しました。

③ 記念品づくり
劇とクイズで楽しんだ後、学生全員が子どもたちと一緒に折り紙の「手裏剣」をつくり、それを忍者をイラストしたポストカードに張り付け、記念品として子どもたち全員にプレゼントしました。ポストカードには、手作りのスタンプで装飾をしたりマジックで絵を描いたりと、思い思いの記念カードができあがりました。子どもたちと肌が触れ合う距離で折り紙を一緒に折り、お互いにカードにサインし合うなど、心が通い合う交流の場となりました。

3  異文化交流活動が教育に果たす役割:タイと日本の学生による共同ボランティア活動

現地小学校等の教育支援活動では、昨年に引き続き、天理大学の協定校である現地大学の日本語専攻の学生が「バディ(相棒)」として通訳に入り、共同でボランティア活動を行いました。今回は、マハーサーラカームで13名、チェンマイで7名のバディたちと共同ボランティアを行いました。バディたちは、教育支援活動のサポートだけでなく、食事や外出など、日本人学生のタイでの生活全般をサポートしてくれました。、日本語を学ぶタイ人学生にとっては、日本人学生との生活を通して日本語や日本文化を学ぶことができるというメリットもあり、ウィンウィンの互恵関係となりました。

タイ人学生との共同ボランティア 結ばれた友情と絆

タイと日本の学生にとって、共同ボランティア参加は、単なる言語交換以上の価値があり、国際理解教育という共通目的のために協働する文化的な枠を超えた交流は、学生間に深い友情と心の絆を育みました。マハーサーラカーム、またチェンマイにおいて、多くの学生が涙を流してお互いの別れを惜しむ姿は、国際理解教育の枠を越えた、まさに「タイと日本の架け橋」と呼ぶにふさわしい活動であったと言えます。

4 バンコク都環境局との協働によるチャオプラヤ川の清掃活動(2月27日)

バンコク都環境局との協働で、チャオプラヤ川の清掃ボランティア活動を実施しました。チャオプラヤ川は、タイの国土を南北に縦断し、歴史的にはスコータイ朝、アユタヤ朝、シャム王朝に渡って全ての王朝がチャオプラヤ川の流域に王朝を建都しており、タイの歴史と文化を構成する上で中核をなす存在の川です。また、一千万人を超えるとも言われるバンコク首都圏の人々の生活も支えています。有数な観光都市としても名高いバンコクの王宮や寺院の多くがチャオプラヤ川の近くに建てられていることから、チャオプラヤ川の本来の価値を取り戻し、美観を維持することは、その歴史的文化的な重要性と、市民の健康、地域社会の持続可能な発展にとって非常に意義深い活動です。チャオプラヤ川での清掃活動は2回目で、環境学を学ぶ大学生と共同で行った清掃活動ボランティアは、チャオプラヤ川の歴史的、文化的な価値を再認識し、未来の世代に美しい川を残していくためにも重要な活動であるといえます。

5 その他の活動

① 農村体験センター「スアン・スムセーン」での活動:タイ東北部の農業体験、タイ料理体験
マハーサーラカーム大学から車で5分程度の距離にある「スアン・スムセーン(菜園の家族)」で宿泊しました。こちらは、タイの東北部(イーサー地方)の農業、特に持続可能で安全な有機農業の指導と研修を行っているセンターで、農村地域の伝統的な家屋での宿泊を体験した他、タイで大切な人やお寺にお供えするタイの文化的な意味をもった花輪の作成や、タイ料理の体験をしました。「スアン= 庭・畑、スムセーン=グループ・同類・親族」とは、施設長のトイさんが農村再生のために40年間活動を続け、仲間が集まる場所として、この名前を付けたそうです。

② チェンマイでのモン族の孤児院「バーン・インディー」での活動
チェンマイでは、モン族の居住地域で、両親の離婚や親が麻薬中毒、または親の死亡など、様々な家庭事情から親と生活できない子どもたちを預かっています。子どもたちは5歳から18歳までの24人で、孤児院に対する行政からの補助金はなく、独自の活動で運営費を賄っているそうです。創設者のアタポンさん自身に母親がいなかったことから、こうした子供たちの支援活動として孤児院を運営しています。訪問して活動する中で、個人野子どもたちはみんな家族のように仲良く常に笑顔で幸せそうに暮らしているのをみて私たちもとても嬉しく感じました。

③ バンコクのスラム街を支援するシーカー・アジア財団での活動
今回、バンコク滞在中の2月24日(土)に、バンコク最大のスラム街クーロントーイで支援活動を行っているシーカー・アジア財団を訪問した。同財団は、1979年に設立された曹洞宗東南アジア難民救済会議(JSRC)のカンボジア難民救済活動が海外支援のルーツで、シーカーとは「教育」を意味しており、教育の機会に恵まれないスラム街や農村地域の子どもたちの教育支援活動を行っています。財団の活動説明を受けたのち、スラム街の中を散策させて頂き、実際のスラムの生活状況を見学させて頂きました。その後、スラム街の子どもたちからタイの伝統的舞踊が披露され、本学の学生たちも用意してきた日本語教育・日本文化紹介の活動を行い、お互いの交流を深めることができました。

④ 天理教タイ出張所の遥拝式参拝とひのきしん(2月26日)
2月26日にはバンコクにある天理教タイ出張所の遥拝式に参拝し、昼食を頂いた後で、出張所周辺の清掃ひのきしんをさせて頂いた。天理教ではない学生が多い中、12下りのおつとめの見学やひのきしんへの参加など、信条教育と国際的な宗教性を学ぶ上でよい機会となった。

⑤ 能登半島地震救援募金活動(2024年1月25日)
 タイを訪問するにあたり、モン族の孤児院の支援のために募金活動を計画していました。しかし、能登半島地震の直後の時期であったことから、急遽チェンマイの孤児院のための募金活動ではなく、能登半島地震の災害救援金の募金活動をすることにしました。1月25日の午後4時45分から5時45分の1時間の募金活動でしたが、本当にたくさんの方が募金くださり、募金総額は77,949円になりました。頂いた募金が日本赤十字社を通して被災地に送らせて頂きました(1月26日に振り込み済)。

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