【教員コラムNo,5】〝癒し″の時間と「その人らしさ」…の発見 2023.06.27 医療学部看護学科 # 教員コラム

医療学部看護学科  伊藤 咲

コロナ禍が軽減され、対面でのコミュニケーションが増えつつある日常に戻ってきている。コロナ禍が長期間続く中、人との関係作りや趣味の継続が難しく、心身共に不調を来している人も多い。人が、元気になる源は、自分にとっての何かしら〝癒し、楽しめる、ほっとする場″を持てることだと思う。〝癒し“とは、「心を癒し、病気になった身体を癒す」とあり、癒しの環境には、5つのステージとして、安全な環境、ほっとする環境、効率の良い環境、元気になる環境、生きる歓びに沸く環境 1)とある。学生の看護体験を述べる〝癒し″の環境は、ほっとする、元気になる、生きる歓びに一致するといえる。

5月に終了した3回生の成人・老年領域実習「健康回復過程を支える看護実習」と現在、4回生の「在宅療養を支える看護実習(老年看護学領域)」で高齢者施設に実習で思ったこと。
ある学生が患者(利用者)さんに、労い、少しでも楽しんでいただける、ホッとする時間を作る看護を実践する中、学生と患者(利用者)さんが同じ時間の共有と様々な感情を共有し合う場で、学生は、患者(利用者)さんの「もてる力」や「その人らしさ」を、どんどん発見し看護に繋げていく。その姿を見て、私自身も看護が楽しく、元気を頂いている。なにより、学生の若さは、患者(利用者)さんにとって、元気の源になっているのは確か。
エネルギー溢れる学生には勝てないなぁと実感し、すごい!といつも思う。

1)参考:一般社団法人 癒しの環境研究会

ある学生のひと場面

日々、リハビリをされている患者さんに、少しでもほっとできる時間になって頂きたいと、車椅子での散歩をしましょうと提案し、病院の外の庭を一緒に散策した。散策中、患者さんは病室では見られない明るい表情で、
「気持ちいい、青空がまぶしくてきれい」、「この木は、いっぱい種類があってね…元気な時、盆栽して手入れしてたよ」、「鯉もいっぱい、うちの家にもいたよ」など、次から次へと今まで生活された話が湧いて出てくる。学生は、患者さんの変化に驚き、この方ってこういう面もあるんだと新たな一面を発見した。

また別の学生のひと場面

コロナ禍後、利用者さんの施設で初めてのレクリエーション「玉入れ」が行われ、学生も参加した。玉入れ前は、ホールで座っていた利用者さんは、ラジオ体操が始まると、麻痺のある方は、動く範囲で上下肢を動かし、玉をつかみ投げようと必死で、失語症の方は、玉の数を数える際、声が出る範囲で参加され、その他利用者さんの笑顔が多く見られた。玉を数える際、利用者さんが玉入れの袋をもち協力された。学生は、ホールでいる利用者さんの姿と思えない…玉入れで、こんなにもできるとは…思っていなかった。学生は、実際の場を目にして利用者さんの「もてる力」を目の当たりにして、ひとが日常生活に〝楽しみ″の場があることは、皆が笑顔になり生きがいに繋がることを体験した。

上記学生の体験より
〝癒しの場″から、〝その人らしさ″や〝もてる力″も垣間見れる時である。
日々、多忙の中、ひと時でも、患者さんと共に、楽しく過ごす時間の共有は大切であると改めて実感する。私自身も、学生と患者(利用者)さんと、この時間を共有できたことで、こころが潤い元気を頂いた。
これからも、学生、そして私も、看護に〝癒し″というキーワードも意識し、患者(利用者)さんに、学生さんが来ると「元気が出る、なんだかほっとする」という存在になれるよう看護を探求しつづける。

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