
12月14日(日)、DMG MORIやまと郡山城ホール(小ホール)において、天理大学2025公開講座『「大和学」への招待 ―郡山の歴史と文化2―「順慶・秀長と郡山城」』が開催されました。今回の講座は、2026年1月にスタートする大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公、豊臣秀長を題材に取り上げたこともあって、会場には300名の定員を上回る来場者が詰めかけました。
天理大学、大和郡山市、公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会の共催となった今回の講座は、本学の人文学部歴史文化学科 天野忠幸教授と大和郡山市役所 都市建設部 まちづくり戦略課 文化財保存活用係の十文字 健氏が講師として、それぞれの研究分野から秀長を考察する二部構成で開催されました。
第1講で登壇した天野教授は、「秀長のまちづくり・くにづくり」をテーマに講演。天野教授は、織田信長より大和の支配を任された筒井順慶が郡山城を築き、その後、郡山城は、豊臣秀吉より大和・紀伊・和泉を拝領した秀長の居城となったという歴史的な流れを説明しました。
また、大和における秀長の本格的なまちづくりについて紹介するとともに、大和大納言と称された秀長の治めた郡山や大和が、戦国の世から泰平の世へ時代が移り変わるなかで、どのように変遷していったかを解説しました。
さらに天野教授は、豊臣氏の滅亡後、その影響からか秀長のマイナスイメージが世間に浸透したものの、秀長と共に戦った黒田官兵衛の福岡藩や藤堂高虎の津藩、そして浮世絵では、優秀な武将であり優れた官僚でもあったと評価されていることも紹介しました。
続く第2講では、十文字氏が「考古学からみる秀長の郡山城」をテーマに講演しました。十文字氏は、まず、郡山城が筒井順慶によって築城されたことを紹介。そして、天正13年の秀長入城以降、豊臣政権による畿内統治の拠点、また近世城郭として大規模に整備されたことを説明しました。
また、十文字氏は、郡山城は幕藩体制下においても大和国の要所として機能し、廃城後も骨格が都市に継承され、都市の礎として長きにわたり引き継がれていることを解説したほか、秀長の巧みな城づくりの功績について、発掘調査等を交えてわかりやすく説明しました。
最後に討論会として、上田 清大和郡山市長、柳澤保徳柳沢文庫保存会副理事長、天野教授、十文字氏が登壇。順慶・秀長によって築かれた郡山城の活用方法や、秀長をはじめとする大和郡山市の歴史を学ぶ機会の形成についても意見交換がなされました。






天理大学は、地域社会の文化創造の中心として、社会に開かれた大学を目指しています。高等教育機関として、地域住民への学習機会の提供にも積極的に取り組んでおり、公開講座はその一環として毎年開催しています。
来年度も、人文・国際・体育・医療の各分野において、今後も公開講座を予定しています。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。