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 【生涯学習】

《公開講座記録》【「大和学」への招待】第2回 郡山と春日若宮おん祭

第2回
●2019年9月21日(土) 午後1:30
●テーマ: 郡山と春日若宮おん祭
●講師  幡鎌 一弘 歴史文化学科教授

内容

春日若宮おん祭は、保延2年(1136)9月17日に始まった。興福寺が、自らの大和国支配を朝廷に認めさせていくために創出した、大和国一国規模の祭礼である。以後、多少の中止・中断はあるが、連綿と続けられて現在に至っている。

一国の祭礼であり、当然のことながら、大和郡山市地域の人々とおん祭は関係する。衆徒の筒井氏はおん祭のなかでも大役の田楽頭役をつとめ、あるいは戌亥脇党の一員だった郡山氏が流鏑馬頭役となった記録がある。とはいえ、春日若宮おん祭に郡山が強い影響力を持つようになるのは、天正13年(1585)、豊臣秀長が大和郡山城に入った時である。秀長の郡山城入部は、大和国の中世と近世を分ける分水嶺といってよい。秀長は自らおん祭のスポンサーになって祭を変えていった。大きな変更点は、松の下に仮屋を作ったことと、流鏑馬行事に自らの家臣団を傅(従者)の役として参加させたことである。紆余曲折はあるが、前者は奈良奉行が松の下で祭礼を検知することにつながった。後者は大名が負担する乗込馬や諸士行列の奉仕となった。現在のおん祭では、大名行列がひときわ人目をひくが、秀長が、それ以前の祭礼の伝統を引き継ぎながら、その一部を改めて行列を華美に飾ったことがその始まりである。

元和元年(1615)に水野勝成が郡山城に入り、郡山藩が成立する。郡山藩は大和国に多くの所領を与えられていたため、所領の高割で大名・旗本に賦課されていたおん祭の負担も大きかった。たとえば、本多政長・政利が大和国内に19万石を領していた時には槍300本を奉仕し、本多忠常(12万石ただし、大和国内には78,700石)は、掛物(雉1,200・狸143・兎136)のうち、雉200・狸22匹・兎22匹を納めた。
郡山藩・高取藩・藤堂藩・小泉藩による諸士行列、あるいは大名・旗本による槍持は華々しく行列を飾った。槍鞘は遠目でも大名を見分けられるように工夫されていた。おん祭でも槍持の装束や槍鞘は絵図や記録に書きとどめられている。

柳沢吉里は享保9年(1724)に初めて郡山に入った。その年のおん祭に郡山藩は長柄130本、神馬17匹、家中神馬12匹、騎馬13人など、総勢653人で奉仕している。

幕末の記録だが、郡山藩の「年中行事」によって、藩の奉仕の準備を抜き書きすると以下のようになる(江戸時代の若宮祭礼は11月27日に行われていた)。9月1日に、出仕する人と城内にとどまる控の人員のリストを作成するよう指示が出る。11月1日、馬供連・神馬を差し出す人数書が決まる。ただし、家老の分は祐筆へ、年寄分は月番年寄へ名簿を渡すことになっていた。11月22日には、厩において祭礼出役の面々が試乗馬を行う。さらに、番頭・御槍奉行・出役大目付などが指名される。出役大目付は、11月25日から御用部屋出仕を免じられる。その理由は説明されていないが、小泉藩の例を見ると、おそらく祭礼前の精進のためだろう。祭礼前日の26日は毎月の評定日であるが、11月は行われない。また、若宮祭礼のため翌27日を休日同様の扱いとする旨各所へ連絡される。かなりの人数が奈良に出向くので、準備もあって、26・27日の日常の仕事はほぼ休止状態だった。ただ、全家老・全年寄・当番大目付は登城し、怠りのないように目を配った。

11月27日の祭礼当日、早朝から人数が繰り出される。藩主が在城し行列を検知するときには、四目垣(正確な場所はわからない。鉄門から三の丸に出たところか)にご覧所を作り、年寄・大目付は同所に薄縁を敷き座って検分することになっていた。柳御門内の箱番所から平岡家門前(五軒屋敷のうち)まで奴振をする。家中は、五軒屋敷前通りでそれぞれ見物した。また、三の丸での行列揃がなければ西奈良口町の西にあった武家地(小川町、現在の北郡山町)の馬場で馬場揃をしたという。

「年中行事」はここまでなので、以下、奈良での様子を他の史料で補っておこう。奈良に入ると、奉行たちは一の鳥居の西側の桟敷に座って出番を待った。松の下での一連の芸能奉仕が終わると、指示に従って行列を進め、松の下の東側ですぐに南に折れて、鷺原で待機する。奈良奉行に挨拶をした後、流鏑馬の馬場を槍持が警固し、流鏑馬終了後に退散する。諸士行列や槍持が御旅所神前で拝礼することはなかった。
 

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