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 【生涯学習】

《公開講座記録》【地域研究への招待】第1回 東南アジアの多文化社会 ~タイを事例として~

第1回
●2019年6月15日(土) 午後1:30 
●テーマ: 東南アジアの多文化社会 ~タイを事例として~
●講師  ピヤダーションラオーン 地域文化学科准教授

内容

1.タイはどんな国?

タイは東南アジア大陸部の真ん中に位置して、北部は中国南部、東北部はラオス、東部はカンボジア、西部はミャンマー(ビルマ)、南部はマレーシアと接している。首都であるバンコク以外、北部のチェンマイ、東北部のナコンラーチャシーマー、南部東海岸のソンクラー、南部西海岸のプーケットの都市がある。バンコクは東京や大阪並みの大都会であり、スクンビット通りというビジネス街に大型ショッピングモールが並んでいる。この40年間タイは経済新興国の一つとして経済発展を成し遂げてきたが、首都と地方との地域格差や富裕層と貧困層の経済格差も広がり、それが国の重要な課題でもある。

2.多民族社会

タイは他の東南アジア諸国と同じように多文化・多民族の国である。各地方にそれぞれの特徴があり、地域によって民族、食文化、言語なども異なっている。例えば、北部の山地に住んでいる少数山岳民族。彼らは、カレン族、アカ族、モン(ミヤオ)族、ヤオ族、リス族などの民族に分類され、衣装や言語、生活習慣が異なる。従来焼畑で穀物を栽培し生業としてきていた。東北部(イサーン)に住んでいるラオス系のタイ人はラオス語に似たイサーン語をしゃべり、ご飯もうるち米よりももち米を主食とする。カンボジアに近いところはクメール系のタイ人がいる。南部にはイスラーム教徒(ムスリム)のマレー系の人々が多く住んでいる。これに加え、中華系、アラブ系、インド系タイ人も少なくない。彼らの多くは都市部に住んでおり、商売やビジネスをするものが多い。インド系とアラブ系は外観がタイ族の人と違うので区別できるが、中華系タイ人はタイ族との混血が多いため、タイ系なのか、中国系なのかはっきり区別するのが難しい。

3.タイ南部のムスリム社会

私の研究分野はタイの歴史であり、この10年間南部地方の社会・経済史に着目している。ただし歴史だけではなく、現地の社会・経済の変化、民族・文化の多様化、そして多文化共生の有様にも注目している。タイ南部にはムスリムのマレー系以外に、仏教徒のタイ系、中国系の人々が古くから混住している。しかも近年、観光産業のブームと食品加工産業の拡大によって単純労働のニーズが増えている。それを担っているのはミャンマーからの移住労働者である。特にプーケットと周辺の県であるパンガー県とクラビー県に約5万人のミャンマー人ワーカーがいるといわれている 。家族や親戚連れで子供と青年も数多く、あるいはタイで知り合って結婚し子供を生むカップルも多い。ミャンマー人コミュニティーが形成されているのか、子供たちはタイの学校に行かず、ミャンマー人学校に入る傾向がみられる。

4.フィールド調査から分かったこと

この5年間パンガー県のP村とT村にてタイ人とミャンマー人の小学校のあり方と変更を観察してきた。パンガー県はプーケット県と海を隔てて接しており、近年高級リゾート地として開発が進んでいる南タイの新しい観光地である。地元の経済は良くなっているが、教育現場を訪れると教育の質や教員不足、学生数の定員割れなどの問題もある。P村の住民の九割はムスリムであり、村の小学校も先生と生徒のほとんどがムスリムである。T村でもムスリム住民が大半であるが、5年前ミャンマー人の学習センターができたため、ミャンマー人の子供が集まり年々数が増えている。ただしこの学校は正式な学校ではなく、その周辺に住んでいるミャンマー人たちが共同出資し自ら建てた学校である。現在はミャンマー人の教師3人と約80人の生徒がいる。この学校は現在小学4年生までしかないため、生徒は4年生が終わったら、ミャンマーに帰って進学するか、別の県のミャンマー人学校に編入するか、退学するかまだ決まっていない生徒も多く見られる。タイ政府には外国人学校を支援する方針があるものの、この学校からみると全国的かつ効果的に機能しているとは言いがたい。また現地のタイ人住民とミャンマー人との社会や生活の分断もあり、今後多文化社会のあり方はどうなっていくのかが課題となる。

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