おやさと研究所では7月25日(土曜)、今年度の公開教学講座シリーズ「布教伝道と伝道学」の第4回講座として、中西光一研究員が「異文化伝道3―ブラジルから日本へ:在日ブラジル人の布教」という演題で講演いたしました。中西研究員は、ブラジル生れのブラジル育ち、日本語とブラジルポルトガル語のバイリンガルでもあります。
天理教のブラジル伝道は、教祖40年祭に向けた教勢倍加運動によりブラジルに集団移住が行われたことに端を発し、主に日系移民を対象にして展開してきました。その結果、1956年にブラジル伝道庁は設立され、広大なブラジル国内で教会間の関係性が強化されるようになりました。戦後は、天理教2世・3世がブラジル社会へ適応しつつ、信仰の土着化を進めて現在に至っています。またそれと同時に、「おぢば」の学校への進学を通じた信仰継承が行われ、その中から在日ブラジル人による日本での布教活動もなされるようになりました。
中西研究員は、ブラジルポルトガル語を駆使して、4名の在日ブラジル人インフォーマントにインタビューやアンケート調査を行い、日本とブラジルにおける宗教文化や社会的背景の違い、またこれを踏まえた異文化伝道のあり方に重点を置きながら聴き取りを行いました。今回の講座内容のメインは、その調査報告及び考察でした。
宗教文化と社会的背景の違いについては、「ブラジルではカトリックの宗教文化を基盤とした布教が行われるが、日本では相手との信頼関係構築を重視した伝道が求められる」一方で、「日本人にはむしろ率直に教えを伝えるべきで、粘り強い布教活動が求められる」などという回答がなされました。また今後の布教のあり方については、「ブラジルでは教会運営に柔軟性があり、月次祭の日程なども信者に合わせて調整できる」、「日本では、社会的に孤立しがちな東南アジア系の労働者への布教も重要である」などという回答が得られました。
最後に中西研究員は、この調査を踏まえて考察を行い、①宗教文化・社会的背景の違いを踏まえた柔軟な布教実践、②信仰継承と次世代育成の重要性、③トランスナショナルな経験を活かし新たな伝道の可能性の3点の結論を提示して、講演を締めくくりました。
講演の後、インフォーマントの日本語能力について、また男女により布教伝道のしやすさがあるかどうかについて、またブラジルの場合、森林に住む先住民への伝道の可能性についてなど、活発な質疑応答や意見交換が行われました。最後に井上昭洋所長より総括コメントがなされました。 次回の公開教学講座は、9月25日(金曜)13時より、「伝道史の探究1―明治時代における教会設置」と題して、澤井治郎研究員が講演いたします。場所は天理大学研究棟第1会議室です。事前申し込みは不要ですので、振るってご参加ください。
「布教伝道と伝道学」(2026年度公開教学講座シリーズ)ご案内
https://www.tenri-u.ac.jp/news/65105/
*写真1:中西光一研究員の講演の様子
*写真2:『ブラジル伝道史』の口絵写真パネル展示


(おやさと研究所・金子昭)
※第10回2月 井上昭洋 所長
伝道学の展開3―帝国時代とポスト帝国時代の海外布教戦略
会場がふるさと会館大ホールへ変更になりました。
※第6回と第7回が変更になりました。
<変更後>
第6回10月 尾上貴行 研究員
伝道史の探究3―戦前・戦中の北米伝道
第7回11月 岡田正彦 研究員
伝道史の探究2―『天理教伝道者に関する調査』を読む