5月29日、体育学部キャンパスにて、「JICA海外協力隊エジプト短期派遣報告会」が開催され、柔道部員ら約110名が参加しました。
報告会の冒頭、本学柔道部監督である穴井隆将准教授が、2022年に天理大学・JICA関西・天理市の三者で締結された覚書について説明。これに基づいて、2023年10月に卒業生がエジプトへ長期派遣されたことを礎に、在学生による2024年2月からの短期派遣が実現したと、経緯を説明しました。
報告会では、エジプトに短期派遣された5人の柔道部員のうち、卒業生1人を除く4人が登壇しました。短期派遣された5人はいずれも昨年5月2日に同キャンパスで開催された「ボランティア連携事業 事前視察報告会」に参加しており、穴井准教授の説明を受け、学内募集に応募しました。その後、面接などを経てエジプトに派遣となりした。
柔道部員からの報告では、まず、樋笠将太さん(体育学科3年・志度)が、「生活編」と題して発表し、1週間のスケジュール、ミネラルウォーターやイチゴを例に挙げた食費の目安などを紹介しました。エジプトの交通事情については、動画を使用して説明しました。
また、樋笠さんは、「ストリートチルドレンや児童労働など、現地に行くことで、エジプトで起こっている問題を知ることができた」とも話しました。
次に、芝彩那さん(地域文化学科4年・龍谷大学付属平安)が登壇し、「観光」について動画や多くの写真を用いて学生たちに説明しました。
説明のなかで、芝さんは、「海外では、土産物を買う時にぼったくりに遭うこともあるが、現地の人との値段交渉も海外ならではの醍醐味だと思う」と話し、日本人にはあまりなじみのない、観光名所での「外国人料金」についても説明しました。
続いて、柴田勘次郎さん(体育学科3年・天理)が、「1か月の記録」というテーマで報告。柴田さんからもスケジュールについて説明があり、エジプトの週休日は金曜と土曜であることや、ラマダンについて詳しく説明がなされたほか、エジプト人の人懐こい国民性や、海外における日本人コミュニティの大切さについても語られました。
また、4月末にエジプトで開催された「アフリカ選手権2024」の男女混合団体戦でエジプトチームが初優勝ことも紹介しました。
報告会の最後に登壇した舟﨑千夏さん(本学大学院体育学研究科体育学専攻2年)は、「1か月の報告」として、主にエジプト柔道について説明しました。
舟﨑さんは、まず、派遣の背景と、その目的が「エジプト柔道ナショナルチームの技術強化」であることを説明。そして、現地での活動を通して感じたエジプト柔道選手の特徴を、技術面とメンタル面から学生たちに話しました。
特に、練習や指導者に対する日本との意識の違いから生じた場面では、積極的にエジプト選手へ声掛けを行ったり、練習をサポートしたりすることで、選手たちが良い方向へ変化したエピソードを報告しました。
報告の総括として、「海外でしか得られない経験ができて非常に有意義な1か月だった。柔道としての土台作りはできたと思うが、技術力向上までの指導はできなかったので、機会があれば、またエジプトへ行って柔道の指導をしてみたい」と述べ、「出発前、穴井先生が“行けば分かる”とおっしゃっていた意味がよく分かった」と、報告会を締めくくりました。
終わりに、JICA関西職員から、今年度の派遣隊員募集についての説明がなされた後、穴井准教授が「各々に柔道の目標があり、それに向けてのスケジュールもあると思うが、このプロジェクトは天理大学でしか体験できない非常に貴重なものなので、少しでも興味がある人はぜひ応募してほしい。また、4年生と3年生には長期派遣のチャンスもあるので、卒業後の進路の候補として考えてみては」と、学生たちに呼びかけました。
天理大学では、昨年に引き続き、6月よりJICA短期派遣員(2024年2月派遣予定)を募集します。詳細は、後日キャンパススクエア掲示板にてお知らせする予定です。