卒業式【天理大学百年史コラム(17)】 2022.03.23 天理大学百年史

2021年度天理大学卒業証書・学位記授与式および大学院学位記授与式(2022年3月19日)

2022年3月19日に2021年度の卒業証書・学位記授与式が挙行されました。しかし、新型コロナウィルス感染症による影響のため、2020年3月の卒業証書授与式より、例年のような形式の開催ができなくなっています。
これまで、本学の卒業式はどのように開催されてきたのか、関連する資料や歴史についてみてみましょう。

※以下、卒業証書授与式は卒業式と略して表記しています

天理外国語学校と天理女子学院の卒業式

天理外国語学校の第1回卒業式は、1928(昭和3)年3月25日におこなわれました。
天理外国語学校は私立学校令による認可をうけて、1925(大正15)年4月に共学の学校として開校しましたが、1928(昭和3)年1月11日に、男子は専門学校令による天理外国語学校に編入し、女子は翌12日に従来の天理外国語学校を改称した天理女子学院に残るという形で、男女それぞれの学校へと変更されました。そのため、第1回卒業式は天理外国語学校並びに天理女子学院の卒業式としておこなわれました。また、専門学校令による学校への昇格披露式も卒業式と兼ねておこなわれました。
翌年より1940(昭和15)年に至るまで、毎年3月15日に天理外国語学校と天理女子学院の卒業式がおこなわれました。

ただし1932(昭和7)年3月の卒業式に関しては、女子学院の卒業生がいなかったため、女子学院の卒業式はおこなわれていません。そのため翌年は、天理外国語学校が第6回、天理女子学院が第5回の卒業式となり、その後も同様に回数がずれるため、本来ならば1938(昭和13)年の女子学院の卒業式は第10回のはずですが、天理外語と同じ第11回となり、その後も同様に天理外語と同じ卒業回数で数えられています。

第1回卒業記念、天理外語、天理女子学院集合写真。現1号棟前にて。(1928年3月25日)
1933年第6回外語並びに第5回女子学院卒業式案内状
1938年の案内通知には、外語、女子学院ともに第11回として記されている
1938年の卒業式に贈られた祝電

戦争による繰り上げ卒業

1941(昭和16)年からは太平洋戦争の影響があり、それまでとは違った変則的な卒業を迎えます。
1941年は3月15日に天理外国語学校の第14回卒業式が、翌日に天理女子学院の卒業式がおこなわれます。
そして第15回の卒業式は翌年3月ではなく、同年12月28日におこなわれました。戦争によって高等教育機関の修業年限の短縮が実施され、3ヶ月繰り上げの1941年12月28日に第15回天理外国語学校及び天理女子学院の卒業式がおこなわれます。天理女子学院は1940(昭和15)年3月に専門学校である天理女子専門学校へと生まれ変わるため、この卒業式が天理女子学院最後の卒業式となりました。
翌1942(昭和17)年3月16日は、天理女子専門学校特科家庭科の第1回卒業式がおこなわれ、本科の卒業式は同年9月22日におこなわれます。
天理外国語学校においては、さらに6ヶ月短縮の修業年限となり、第16回が1942年9月22日に、第17回が1943(昭和18)年9月28日に、第18回が1944(昭和19)年9月25日に、第19回が1945(昭和20)年9月25日におこなわれます。
また、1943年には学徒出陣により、11月27日に仮卒業式がおこなわれています。
ちなみに、1944年に天理外国語学校は天理語学専門学校へ、天理女子専門学校は天理女子語学専門学校と改称されたため、1944年以後は天理語学専門学校としての卒業式となりました。

天理女子専門学校本科支那語科第1回卒業記念集合写真(1942年9月)
1943年11月20日付、出陣学徒仮卒業式の案内

新制天理大学と天理短期大学

終戦を迎え、1947(昭和22)年には共学へとかわるため、天理女子語学専門学校の卒業式は同年3月15日におこなわれた本科第5回卒業式が最後となります。
そして、1949(昭和24)年、新制天理大学が発足し、1951(昭和26)年3月15日に天理語学専門学校の最後の卒業式がおこなわれ、天理大学第1回卒業式が1953(昭和28)年3月15日におこなわれました。

天理短期大学が1950(昭和25)年に設置されているため、天理大学第1回卒業式では、天理短期大学の第2回卒業式も同時におこなわれ、1959(昭和34)年3月15日に天理女子短期大学(1957年に短大から変更)の最後の卒業式がおこなわれるまで、毎年同時におこなわれていました。
また1981(昭和56)年から別科(日本語課程・外国語課程)が開設されたので、1982年3月25日に、第1回別科及び第38回選科日本語科修了式が別科校舎にておこなわれました。

 その後は、1992(平成4)年の第40回卒業式まで、毎年3月15日におこなわれ、それ以後は3月22日におこなわれました。1992年は本学機構の大きな組織改革がおこなわれた年です。
2004(平成16)年に、大学院修士課程臨床人間学研究科臨床心理学専攻が設置されたことにより、2006(平成18)年3月からは、大学院の学位記授与式もともにおこなわれています。2019(令和1)年3月からは3月19日に日付が変更されました。

1974年度天理大学卒業式
天理短期大学第6回卒業生集合写真

式典の変化

1953(昭和28)年におこなわれた第1回大学卒業式及び第2回短期大学卒業式は、講堂(のちの伝道実習棟)でおこなわれ、卒業証書が授与されました。翌年からは県知事より教員免許状の授与もおこなわれています。
また1955(昭和30)年の卒業式では、式後に式場玄関で記念撮影をおこない、本部神殿に参拝し、寮の楼上にて会食をおこなっています。同年の卒業生は大学61名、短大62名で、まだそれほど大人数ではなかったので、式場も南大教室(先の講堂と同じ、のちの伝道実習棟)で収容しきれたとみられます。
1959(昭和34)年の卒業式では、本部遙拝のあと、天理スクールバンドの伴奏で天理教原典の一つである、みかぐら歌よろづよはじめ八首の斉唱のあと、卒業証書、教員免許状がわたされました。式後に図書館前にて記念撮影をおこない、本部神殿にお礼参拝に向かい、その後体育館でふるさと会(天理大学同窓会)入会歓迎をかねた会食がおこなわれました。
翌年は、卒業式がおこなわれる前日の3月14日に、二代真柱より卒業祝の招待がありました。卒業予定者242人と教職員80人が揃って天理教本部の夕つとめに参拝したのち、天理教本部炊事場2階にて、二代真柱よりはなむけの言葉を贈られ、夕食会がおこなわれました。また同年の卒業式では、式後の本部へのお礼参拝ののち、大学に戻りふるさと講神殿にて参拝、その場所で各個人ごとに卒業証書、教員免許証、ふるさと会や自治会からの記念品を贈られました。
このように、第1回から少しずつ形式等を変えながらおこなわれ、南棟校舎の竣工により、1966(昭和41)年からは式場が南棟4階の講堂にかわり、1993(平成5)年3月22日の卒業式からは杣之内第一体育館でおこなわれるようになりました。

1980(昭和55)年の卒業式の式次第は、挙式の辞、本部遙拝、みかぐらうたよろづよ八首斉唱、卒業証書授与、その他修了証授与、学長式辞、真柱お言葉、卒業生代表答辞となっており、式後のお礼参拝と教室における各個への卒業証書や記念品の贈呈ののち、南棟4-4A教室においてふるさと会主催の卒業祝賀パーティーが開催されています。会食の最後には、卒業生である前応援団長の指揮で、卒業生全員で天理大学逍遙歌を斉唱しています。
このふるさと会主催の祝賀パーティーは、同年より毎年おこなわれるようになり、平成元年頃からは天理教教会本部第3食堂で開催されるようになります。しかし、様々な事情により2019年3月よりパーティーは行わず、お弁当の配布に変更されました。そして、2020年からコロナ禍の影響によりお弁当の配布もできなくなりました。

1990(平成2)年度からは、再試験制度の導入により1991年3月15日の566名の卒業生に加え、3月22日に39名が追加卒業となり、学長より卒業証書を授与されています。
さらに、1992年3月15日の卒業生からは、学位規則の改正により、学士が学位と位置づけられたため、卒業証書に学位記の文字が加えられました。

1980年3月卒業祝賀パーティー(『ふるさと会報』27号1980年より)
1994年3月卒業式

式典の開催中止

2020(令和2)年度は新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、様々な行事などが中止されました。2019年度の卒業式(2020年3月19日)においても同様となり、式典を開催することができませんでした。式典にかわり、3月19日から25日にかけて、永尾学長の「違いを受け入れ、ともに歩む力を。」のメッセージがYouTubeにて配信されました。
また翌年の卒業式においても、まだ新型コロナウィルスの感染拡大の終息が見えない中、なんとか卒業式を挙行したいという思いから、式場への入場を卒業生、修了生に限定し、当日出席できない関係者や保護者の方々に向け、式典の様子をYouTube配信する形がとられました。
2021年度においては、入場は卒業生、修了生と保証人1名に限定し挙行されました。式次第のうち、よろづよ八首奉唱はせず、学歌も斉唱ではなく清聴となった点がコロナ禍以前との違いです。また、式終了後の天理教本部へのお礼参拝は行われず、各指定教室で卒業証書・学位記(他証書類)等を渡されました。

2019年度卒業生へ向けた学長メッセージ(2020年3月19日本学ホームページ掲載)

式典にまつわる資料や卒業記念品

先日、現在は使用されなくなった古い賞状盆が年史編纂室に移管されました。
賞状盆は卒業式などの式典において、証書類を入れておく黒塗りの大きな盆です。
ひとつは、天理外国語学校時代のもので、正面側面には天理外国語学校の校章があります。木箱に入っており、木箱の蓋裏には「奈良大西勇齋製品」と記された印があります。大西勇齋は奈良漆器を手がけた職人の一人です。この盆に関する購入記録は残っていませんが、この木箱の印により、どこで作成され購入されたかが明確な資料となっています。
もうひとつは、天理短期大学時代のもので、こちらは木箱には入っていません。側面には「天理短期大学」の文字と短期大学の校章が入っています。
どちらもすでに役目を終えていますが、外国語学校と短期大学の存在を示す大切な本学の歴史資料です。

天理外国語学校時代の賞状盆
天理短期大学の賞状盆

また、卒業記念として学校やふるさと会、心光会から贈呈されたもの、または学生たち自身で作成したものなどがあります。いくつか紹介します。

昭和13年3月15日天理女子学院家庭科卒業記念アルバム

1955年天理短期大学 自治会寄贈アルバム

1970年代学長より宗教学科卒業生へ贈られた色紙

年代不明 記念アルバム(左 箱と熨斗、右アルバム)

1972年自治会より卒業生に贈られた記念キーホルダー

2001年度卒業記念マグカップ

2001年度卒業生に贈られた印鑑ケース

2021年度卒業記念品のペン

参考資料

・「天理時報」1170号1953年3月22日、1221号1954年3月21日、1271号1955年3月20日、1506号1959年3月22日
・『開校十年誌』山澤為次編 1935年
・「天理大学広報」63号1980年3月31日、120号1991年4月30日、130号1993年5月8日


(年史編纂室 吉村綾子)

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