東乗鞍古墳 2026 年発掘調査を実施― 天理大学歴史文化学科と天理市教育委員会の共同調査― 2026.02.19 人文学部歴史文化学科地域・企業との連携受験生の方へ受験生の保護者・高校教職員の方へ地域社会とつながる

2月4日から17日にかけて、天理市乙木町・杣之内町に所在する東乗鞍古墳において、天理大学歴史文化学科と天理市教育委員会による発掘調査が実施されました。桑原久男教授・小田木治太郎教授・橋本英将教授の指導のもと、同学科の学生26名に加えて京都府立大学・奈良女子大学の学生2名、総勢28名が参加しました。

天理大学と天理市は2014年に包括連携協定を締結し、その後、2017年には文学部(現・人文学部)と天理市教育委員会が「天理市内埋蔵文化財の調査・研究に関する覚書」を締結。これに基づき、2018年より土地所有者のご協力を得ながら、市内の古墳を対象とした発掘調査・物理探査を継続して行っています。

調査対象である東乗鞍古墳は、古墳時代後期(6世紀)に築造された前方後円墳で、墳丘は2段築成、後円部には南向きに開口する横穴式石室が残されています。石室内部には2基の石棺があり、奥の石棺は阿蘇溶結凝灰岩製(あそようけつぎょうかいがんせい)の刳抜式家形石棺(くりぬきしきいえがたせっかん)、手前は二上山産の底石を持つ組合式石棺で、いずれも貴重な資料です。

これまでの調査により、墳丘は全長約83mであること、その外側に周濠が巡ることが明らかになっています。

今年は、後円部南側の墳丘隣接地に2箇所の調査区を設定し、墳丘・周濠・周堤の構造の確認を目的として発掘を行いました。

調査区の一つ「第14トレンチ」は、近年発掘を行ってきた第11〜第13トレンチと同じ区域に設置しました。第11~第13トレンチではそれぞれ周濠・周堤と考えられる遺構を検出していますが、それらのつながりに一部不明な点が残っていました。また、第13トレンチでは祭祀に関連する土器が一括廃棄された状況が確認されています。第14トレンチは、それらの認識を深める目的で調査を実施しました。

もう一つの調査区「第15トレンチ」は、これまで調査例のなかった後円部南側に設定。この区域では後円部裾が良好な状態で残っていることが期待されるので、これまで明らかになってきている周濠・周堤に加えて、墳丘との関係を明らかにすることを目的に調査を実施しました。

今回の発掘の結果、第14トレンチではこれまで不明確だった周濠のつながりを明確する情報を得、第15トレンチでは墳丘・周濠・周堤をひとつながりで検出でき、それぞれ当初の目的を達成できたと考えています。

調査期間中は、気温差が大きく厳しい環境下での作業となりました。しかし、学生たちは互いに声を掛け合い、教員の指導を受けながら丁寧な発掘作業を継続し、今年も貴重な成果を得ることができました。

歴史文化学科 考古学・民俗学研究コース 小田木治太郎教授コメント

2018年に開始して以来、今回が9回目の発掘調査です。各回の調査は小規模ですが、回数を重ねるうちに、東乗鞍古墳の構造や築造方法について多くのことが明らかになっています。全国的に見ても重要な大型古墳のひとつですので、今後もていねいに調査を続けて、学界や地域社会に貢献していきたいと考えています。学生のみなさんは今回もとてもよくがんばってくれました。自分たちの手で遺跡を明らかにしていく過程は、ほかに代えがたい学びとなったことと思います。

実習に参加した岡島羚雄さん(考古学・民俗学2年・法隆寺国際)コメント

高校時代から歴史文化を学んでおり、入学前から知っていた東乗鞍古墳の発掘調査に参加できてとても嬉しく思っています。昨年の初参加のときは緊張しましたが、先生や先輩が丁寧に教えてくださり、安心して取り組めました。
今年はリーダーとしてチームをまとめる役割も担いました。こうした経験を大切にしたいと思っています。土器を発見したときは仲間と喜び合い、発掘の面白さを実感することもできました。大学のすぐ近くで本物の古墳を掘るという貴重な体験を、ぜひ多くの人にも味わってほしいです。

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