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 【生涯学習】

《公開講座記録》【天理大学公開講座】賢い消費者になるために

第1回 ● 平成27年5月9日(土) 午後1:30
テーマ ● 賢い消費者になるために
講 師 ● 谷口 直子 人間関係学科講師

内容

 1.消費者とは誰のことか
貨幣経済が発達した現代の経済社会では、誰もが消費者である。成熟社会であるわが国において、貨幣を使用せずに日々の生活のすべてを賄う人は、ほとんどないないだろう。  
私たちは、1次産業(農業・漁業など)、2次産業(鉱工業など)を通じて生産された「商品」を貨幣によって交換し、生活に役立てる。また、3次産業(サービス業など)の発達により、生活に潤いを得ている。つまり、私たちのライフスタイル自体が高度な消費によって支えられ、わが国に住む大半(ほとんど)の人が消費者である。このような社会を「高度消費社会」または「大衆消費社会」と呼んでいる。

2.わが国の消費者問題と物言わぬ消費者
消費者問題とは、消費者と事業者の間に生じたトラブルをいう。わが国は、消費社会の発展と共にさまざまな消費者問題を経験している。
たとえば、終戦後の物資が少ない時代では、消費者も選択の機会がなく、品質が消費者問題となった。ヒ素が混入した粉ミルクを飲んだ乳幼児が被害を受けた「森永ヒ素入り粉ミルク事件(1955年)」などの、不良品というには重大すぎる製造物責任に関わる事件や、妊婦が服用した睡眠薬が原因で胎児に異常がおこった「サリドマイド中毒事件(1960年)」のように深刻な薬害被害が数多く発生している。また、甘味料が添加されているにもかかわらず全糖と表示された「粉ジュースの追放運動(1956年)」など、表示上の問題が起こっている。戦後、わが国で起こったさまざまな消費者問題が添加物の使用などの品質問題であった頃には、消費者運動が盛んに起り、わが国の消費者は「物言う消費者」であった。
1970年代に入ると消費者問題の主軸は訪問販売などによる契約トラブルに移行することになるが、この移行に準じるように、消費者問題は集団的な問題から個人的な問題へと変化する。その後、「雪印集団食中毒事件(2000年)」や食品偽装などが起こっても、わが国の消費者はおとなしい。「人の噂も75日」のことわざのように、最初は買い控えなどが起こるが、そのうち何事もなかったように購入するようになり、決して不買運動などの意思表示にはつながらない。上述したような消費者問題の個人化が進行したことと、豊かな消費環境が、わが国の現代消費者像を「物言わぬ消費者」だという一因ではないかと考えている。
消費者問題は経済社会の発展とともに変化していく、いわば社会の成熟度の指標である。
2008年ごろに中華人民共和国で発覚した「メラミン混入粉ミルク事件」や輸入された冷凍餃子に農薬が混入して日本で被害が拡大した「冷凍餃子中毒事件」を見ても、日本の戦後混乱期の消費者問題に似ている。言うならば、中華人民共和国のこの時期(2008年ごろ)は、日本の戦後、成長期と同様の社会の成熟度であると言ってもよいだろう。そして、「冷凍餃子中毒事件」のように、国際社会のグローバル化、ボーダレス化の影響で、他国の消費者問題に巻き込まれるリスクの増加が、新たな消費者問題のかたちであろうことを付言しておきたい。

3.消費者市民社会
最初に書いたように「現代社会では誰もが消費者」である。この大衆消費社会において、消費者である自覚を持ち、消費している個人はどのくらいいるだろうか。おおよそ、日々の消費に慣れて、利便性や価格を消費の基準としていないだろうか。
消費者には6つの権利がある。①安全の確保 ②選択機会の確保 ③必要な情報の提供
④教育機会の確保 ⑤消費者意見の反映 ⑥消費者被害の救済 である。
いま、提唱したい「消費者市民社会」とは、消費者が自ら持つ6つの権利を認識し、自らの消費行動が社会・経済・環境に及ぼす影響を考えながら商品・サービスを選択して、使用から廃棄に至るまでに責任を持ち、消費者自身が消費による社会の発展と改善について考えながら消費者主導型社会を構築しようとする、消費者主権社会のことである。

4.賢い消費者になるために
賢い消費者とは、どのような消費者かと考えるときに、次の5点をあげたい。
①自ら学び、豊富な消費に関わる知識と情報を得た人
②自己的利欲にとらわれることなく、広い視野を持った人
③事業者に対してコミュニケーション能力を持つ人
④自己の理念を論理的に表現できる説得力のある人
⑤常時、ぶれない行動力があり、信用がおける人
つまり、賢い消費者とは、消費者が社会のステークホルダー(利害関係者)であるという役割を理解し、消費市民社会の一員としての自覚を持って消費し、持続可能な社会を構築するために行動できる消費者であるといえる。このような消費者が増えることで、私たちの社会は真の成熟社会となることができるのである。
 

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