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 【生涯学習】

《公開講座記録》【天理大学公開講座】環境ボランティアに参加しませんか -10年以上にわたる布留川清掃から見えてきたこと-

第4回 ●平成27年5月30日(土) 午後1:30
テーマ ●環境ボランティアに参加しませんか -10年以上にわたる布留川清掃から見えてきたこと-
講 師 ● 佐藤孝則 おやさと研究所教授

内容

 大和川は、清流・濁流などさまざまな水が流れ込む1級河川で、その支川の一つに長さおよそ11㎞の布留川がある。この川は、奈良盆地東側の龍王山山頂付近を水源とし、天理ダム、天理市街地を通り抜けて、天理市と田原本町との境界付近で大和川と合流する。その間に、「布留川北流」「布留川南流」などいくつもの支流に分かれて大和川へ流れ込んでいる。
 この講演では、地元の環境NPOが10年以上おこなってきた布留川および周辺域の清掃活動によって、どのような成果が得られたのか、どのような経緯によって実施されたのか、またその間に布留川や本流の大和川の水質はどのように変化したのか、などについて紹介した。
 
1.「NPO法人 環境市民ネットワーク天理」の活動
 布留川は、大和川の中で最も早く水質が改善された支川の一つである。この水質改善と布留川清掃活動とは、決して無縁ではない。この活動を2000年から毎年実施してきたは「NPO法人 環境市民ネットワーク天理」は、天理市内の市民・市民団体、事業者、行政の3者によって構成された環境保全団体で、隔年に実施される「天理環境フォーラム」の主管団体でもある。布留川清掃は、結果的に、地域の、地域による、地域のための「協働」活動として広がった。
 毎年6月の環境月間におこなわれるこの「布留川清掃」には、毎回100名前後の参加者があり、ごみは年毎に減少している。本年で第16回目を迎えるが、天理市庁舎横を流れる布留川では、ゲンジボタルが乱舞するまでに回復した。また、市庁舎から歩いて数分の布留川南流では、カワニナ、サワガニ、スジエビなど数多くの水生生物が観察されるまでになり、まるで山麓の自然が天理市街地の中心部に突然出現したような状況となっている。
 また当該NPOは、天理市民の水瓶の一つである天理ダムの「青垣湖」へ流入する水を確保するため、2003年3月から布留川源流域で植林と育林を兼ねた「水源の森づくり」を始めた。このNPOが進める活動目的は、まさに、布留川流域という公の場所(グラウンド)で、市民・市民団体、事業者、行政の3者が協働で活動(ワーク)できるような“場”づくりを支援することにある。
 
2.「グラウンドワーク」の活動
 そもそもこの「グラウンドワーク」は、1980年代にイギリスの都市周辺部で始まった環境再生のための実践活動で、地域社会を構成する住民・企業・行政の3者がパートナーシップ(協働)を組み、身近な環境(グラウンド)の整備・改善(ワーク)をおこなう環境改善活動のことである。企業と行政は資金、人材、土地などを提供し、住民はボランティア活動による労力を提供して活動目的を達成する仕組みである。日本では1990年代に導入され、2000年以降、各地でこのような環境保全団体が生まれた。
 日本で最初にグラウンドワーク運動を始めたのは、静岡県三島市で活動を続ける「グラウンドワーク三島実行委員会」である。グラウンドワーク三島は、行政が行えば新興住宅地の公園整備に4,000万円かけるところを、市民、企業、行政の協働によって17万円で実現させた、という実績を持つ。
 
3.改善された大和川水系の水質
 大和川は、2007年まで水質「ワースト1」を何回も甘受してきたが、2008年以降はその汚名を返上した。ただ、2006年以降、「ワースト1」であっても、水質の汚れの基準とされるBOD(生物化学的酸素要求量)の平均値は、環境省が水質汚濁の指標とする環境基準値(5mg/L)を下回り、昨年(2014年)まで毎年下がり続けている。ちなみに、2014年の平均値は2.4mg/L(75%値:2.9mg/L)で、この平均値は高度経済成長が始まった昭和30年代の水質に明らかに戻ったことを意味する。私たちが気付かないうちに、大和川は水遊びをふつうに楽しむことができるきれいな川にまで、再生されていたのである。
 この15年間、大和川流域の下水道普及率も格段に高まり、流域住民による河川環境の改善対策も進んだことが水質の環境基準値を大きく下回る結果になったことは、間違いのない事実である。ただ、その支川にあたる布留川が、支川の中では最も早く環境基準値を下回ったことは、流域住民による清掃活動が功を奏した結果と考えても良い。
 

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