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 【宗教学科】

宗教学科 オリジナルコラム−新憲法下のエジプトの行方(2013年1月13日)

 昨年は世界の主要国の多くで指導者が交代した年だった。それら先進国での選挙の争点は、もっぱら経済の問題にあったが、中東諸国ではやはり宗教の問題が大きな意味を持つことになった。その典型がエジプトである。
 
 エジプトでは2011年の「アラブの春」によって、長期にわたったムバラク政権が倒され、昨年、初の民主的な選挙によってムハンマド・ムルシ氏を大統領とする新政権が誕生した。これを後押ししたのが、穏健派イスラム主義組織の「ムスリム同胞団」と、“旧政権残党”の復活を嫌う若者を中心としたリベラルな革命勢力であった。
 
 その後、エジプトで政治的な焦点となったのが、国家の根幹をなす憲法の起草という問題である。実際の起草はイスラム勢力が主導し、手続き的にも大統領が自らの権限を拡大する中で行われた。これにはリベラル派が強く反発したが、昨年末、国民投票による多数決で新憲法は施行された。
 
 起草を主導したイスラム勢力の中心は、ムルシ大統領自身の出身組織でもある穏健派のムスリム同胞団のメンバーであった。ムルシ氏は、エジプトが神権国家ではなく、近代的な立憲国家を目指すと明言している。
 
 だが実は、新憲法起草委員会には、「サラフィー主義」と呼ばれる、より厳格なイスラム主義のメンバーも加わっていた。それにより「預言者への中傷を禁じる」といったイスラム法(シャリーア)に忠実な条項も盛り込まれたのである。
 
 こうした憲法案に強く反発したリベラル派は、自分たちが勝ち取った革命が、イスラム主義者によって横取りされたように感じているという。実際にエジプトでも、革命の原動力となったのは、ツイッターなどのソーシャル・メディアを駆使する若者たちであった。
確かにソーシャル・メディアは、人々をデモへと“動員”し、旧体制を“壊す”ことには長けていたが、新たに何かを“創る”ことについては、いまなお未知数のツールである。
一方で、そうした流動的な状況にこそ強さを発揮するのは、やはりイスラム法のような強固な宗教的伝統であった。
 
 とはいえ、若者がソーシャル・メディアのツールを手放すことは、もはやあり得ない。つまり、新憲法下のムルシ政権は、一方ではそうした若者を中心とするリベラル派と、他方ではより厳格なイスラム主義の主張の間で、極めて難しい国家の舵取りを迫られているのである。
 

 

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