小松﨑 利明 准教授 共訳『トライバル化する世界:集合的トラウマがもたらす戦争の危機』が出版されました。

クルト・ドゥブーフ(著)、臼井陽一郎(監訳)/小松﨑利明、武田健、松尾秀哉(訳)、明石書店、2020年12月、本体2,400円+税
本書は、ジャーナリスト、政治家のスピーチライター、また歴史研究者といった多面的な顔をもつ、クルト・ドゥブーフの "Tribalization: Why War Is Coming" (Brussels: Academic and Scientific Publishers, 2018)を訳出したものである。本書においてドゥブーフは、自分が所属する集団だけが正しいと信じる「トライバル(部族)化」の動きが世界で加速しており、それが戦争を引き起こすことになる、という。そして、そのトライバル化を生じさせる要因として著者が着目するのが「集合的トラウマ」という概念であり、それをもとにした彼独自の鋭い分析が随所に示されている。本書は、コロナによって大きく変化した世界を読み解いていく上でも、非常に多くの示唆を与えてくれるものである。
なお本学からは、人間学部総合研究センターの仲淳教授に精神分析関連の用語について翻訳協力をいただき、また、おやさと研究所の澤井真講師にもアラビア語ならびにイスラーム関係の用語についてご教示をいただいた。