天理大学歴史文化学科 幡鎌教授・天野教授「菊岡家文書」調査の中間報告会を開催
― 羽柴秀長の大和支配を示す家臣・横浜良慶書状を初公開 ― 2026.02.18 人文学部歴史文化学科地域社会とつながる

2月16日、天理大学歴史文化学科は、奈良市の衆徒家・菊岡家に伝来する古文書群「菊岡家文書」に関する中間報告会を、奈良県奈良市内で開催しました。

菊岡家は、興福寺の衆徒として中世以来続く名家です。2025年4月幡鎌一弘教授・天野忠幸教授は菊岡家を訪問し、松永久通書状などの戦国期の新資料を見出しました。そのうえで、資料群全体の把握が必要と判断し、菊岡家の御許可をいただいて、調査をすることになりました。

調査の進展により、羽柴秀長(豊臣秀長)が大和国内で支配の正当性を確立していく過程を示す史料や、同家臣・横浜良慶(一庵)の書状など、歴史的に非常に重要な資料の存在が明らかになりました。
今回の報告会では、とくに戦国・織豊期(16世紀後半)に関わる未公開史料6点を初公開し、その内容と意義について両教授が解説しました。

史料①横浜良慶書状

羽柴秀長が衆徒へ春日若宮祭礼の厳正な執行を強く求めたもの
秀長が単なる武力支配にとどまらず、奈良の宗教・文化の要である興福寺や春日社の伝統を巧みに継承・活用した姿が浮き彫りになっている。

衆徒が慣例行事である「蜂起始(ほうきはじめ)」の完了を秀長に報告しているもの
秀長がかつての筒井氏に代わり、支配の中心になる「棟梁」として認められたことを示唆する象徴的な史料

史料②筒井藤勝(順慶)書状写

天文23年に薪納執行の可否を衆徒に指示したもの

史料③筒井順慶書状

春日社祢宜の処罰を衆徒に指示した書状原本

史料④松永久通書状

給人の入れ替えに伴い大和国内で発生した混乱を鎮めるための書状原本

史料⑤瀧川一益書状

天正8年の大和国指出(所領取調)に際して、奈良町の有力者の身分を保証した書状原本

今回の報告会で発表した史料の詳細は、『史文』28号(2026年2月)「奈良市・菊岡家文書の戦国・織豊期史料」に掲載されています。

天理大学歴史文化学科では、引き続き資料の整理と分析を進め、2026年度中に研究成果を公開していく予定です。

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