
天理大学は11月1日、創立百周年記念行事の一環として、国際学部主催「留学プレゼンテーション大会『世界と、日本と「つながる」わたし』」を杣之内キャンパス9号棟(ふるさと会館)で開催しました。
1925年の天理外国語学校創立以来、本学は世界各地に多くの学生を送り出し、また留学生を受け入れてきました。現在、25の国と地域、55の大学と学術交流協定を締結し、毎年、欧米・オセアニア・アジア・南米などへ学生を派遣しています。
今回の大会は、留学体験を通じて得た「経験」「発見」「成長」を学生が語り、新たな「つながる/CONNECT」の可能性を共有する場として、国際学部が企画しました。
7月にポスター掲示などで登壇者募集を開始。応募者は3分間の予選動画を作成し、国際学部教員による審査を経て、8月に6名の本選出場者が決定しました。その後、約2ヵ月の間に3度にわたって登壇者が集まり、教員とともに本選に向けた準備を進めました。
初回は予選動画の視聴を行い、それを基に国際学部教員がコメントしました。また、今後に向けて、学生同士で意見交換も行い、互いにどのようにすれば、よりよいプレゼンテーションとなるかを話し合いました。
2度目の集まりでは、初回でのコメントを参考に、各自がブラッシュアップした投影資料を準備。制限時間6分を意識しながら、一人ずつプレゼンテーションを行いました。登壇者同士がプレゼンテーションの良かった点、改善できる点について互いに話し合い、教員からは、聴衆に伝わりやすい話し方や、投影資料の効果的な見せ方など、具体的な指導が行われました。
3回目は本選会場となるふるさと会館にてリハーサルを実施しました。目線の送り方や声の出し方など、本番を見据えたアドバイスが教員から伝えられました。


「留学プレゼンテーション大会」当日は、在学生や教職員、登壇者の友人・家族、大学祭来場者などが会場に集まりました。
開会にあたり、長森美信 国際学部長が挨拶と趣旨説明を行いました。続いて、司会の野中モニカ 国際学部教授より、審査員として永尾比奈夫 天理大学学長、株式会社呉竹代表取締役社長 西村真由美氏(本学卒業生)、天理市議会議員 石津雅恵氏、長森学部長、国際交流センター室長 吉田広一氏が紹介されました。審査員は挨拶とともに一言ずつ登壇学生へエールを送りました。



プレゼンテーション大会のトップバッターは、地域文化学科ヨーロッパ・アフリカ研究コース4年次生の植谷陽一郎さん。
植谷さんは、ドイツ・マールブルク大学での出会いをテーマに、留学で得た学びと後輩へのメッセージを語りました。

2番目に登壇した、外国語学科英米語専攻4年次生の笠飯久代さんは、「伝えられない私が、“文化の翻訳者”を目指すまで」と題して発表しました。アメリカ留学で直面した壁と克服の過程、将来の夢を発表しました。

続いて登壇したのは、現在、韓国外国語大学校へ留学中の外国語学科スペイン語・ブラジルポルトガル語専攻3年次生の鈴木香音さん。
韓国留学を選んだ理由と、韓国語学習への情熱を“恋”に例え、成長の喜びを語りました。

4番目に登壇した外国語学科英米語専攻4年次生の藤井清史さんは、「想いが国境を超える」をテーマに、アメリカ留学で学んだ「人を想う心は世界共通」という気づきを紹介しました。

トリを飾ったのは、日本学科4年次生のアルテメンコ・ヴィクトリアさん。
ヴィクトリアさんは、ウクライナから日本への留学に至る経緯と、日本文化に触れる喜び、将来の夢を語りました。
プレゼンテーション後、審査員5名は別室にて審査を行いました。その間、会場では「日中友好大学生訪中団」として、急遽、中国に派遣されたため、この日の登壇が叶わなかった、国際学部外国語学科中国語専攻4年次生の佐々木健吾さんのプレゼンテーション動画が紹介されました。
審査結果は、以下のとおりです。受賞者には、審査員より、賞状と副賞が贈られました。
学長賞 笠飯久代さん
学部長賞 アルテメンコ・ヴィクトリアさん
審査員特別賞 鈴木香音さん
CONNECT賞 植谷陽一郎さん、藤井清史さん

来場者には“応援うちわ”が配られ、拍手とともに揺れるうちわで登壇者を励まし、会場を大いに盛り上げました。
天理大学では、国際交流を通じて多様な「つながる/CONNECT」を創出しています。今回の大会を契機に、在学生や高校生、一般の方々に向けて、留学体験を共有する機会を今後も企画してまいります。
学生コメント
「今回のイベントが留学に行くか迷っている学生が、一歩を踏み出すための手助けやきっかけになれば嬉しいと思いました。また、留学を目指す学生と留学経験者の交流、さらに留学経験者同士のつながりが生まれ、留学という共通点を通じて学生同士や先生方との関係が広がる、非常に良い機会だと感じました。」
「自分の体験や想いを言語化し、人に伝えるプロセスを通じて、以前よりも自分自身を深く理解することができました。留学は語学だけでなく、自分自身と向き合う大きなチャンスでもあります。その第一歩を踏み出す勇気を与えてくれる場として、このようなイベントの意義はとても大きいと感じました。」
審査員コメント
西村 真由美氏(株式会社呉竹代表取締役社長・本学卒業生)
学生時代に文化実習で海外を訪れた経験を思い出しながら、皆さんの発表を聴きました。自分の責任で挑戦し、困難を乗り越えた話には力強さがあります。国際社会で活躍するために必要な視点や柔軟性を、留学を通じて身につけていることがよくわかりました。こうした発表の場は、キャリア形成にもつながる素晴らしい取り組みだと思います。
石津 雅恵氏(天理市議会議員)
学生の皆さんが自分の言葉で留学体験を語る姿に感動しました。単なる体験談ではなく、そこから得た学びや価値観の変化がしっかりと伝わってきました。こうした機会は、留学を目指す学生にとって大きな励みになると思います。ぜひ今後も継続し、地域や高校生にも広げてほしいです。