天理大学人文学部の国文学国語学科のカリキュラムは、国文学・国語学の両方の分野をバランスよく学べる構成になっています。今回は、2・3年次に開講される「近代文学史2」を紹介します。
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天理大学創立百周年記念・天理図書館開館95周年記念展「漱石・子規・鷗外―文豪たちの自筆展―」(10月15日~11月17日)が、天理大学附属天理参考館で開催されています。そこで「近代文学史2」の授業でも、学生の皆さんとともに見学に行きました。

漱石・子規・鷗外という、明治の偉大な文豪三人の自筆原稿展は、日本文学の貴重な原本資料を所蔵する天理図書館だからこそ実現できたものです。天理図書館を擁する天理大学国文学国語学科の学生であっても、普段は活字化された作品を読むことが多いため、作家の書き癖や性格などを直に感じられる機会は非常に貴重です。
先日は天理中学校の皆さんをご案内する機会があり、その際も展示に強い興味を示してくれましたが、今回は国文学国語学科の学生たちによる見学でした。文学を専門に学ぶ大学生ならではの視点で展示を観覧してくれました。
特に今回の目玉資料である、新たに発見された『吾輩は猫である』第十章の原稿には強い関心を寄せ、編集者や校正者による書き込みの意味について多くの質問が寄せられました。また、漱石原稿の旧蔵者である文人・水落露石による識語(原稿の来歴に関する書き込み)のくずし字を一生懸命読み解こうとする姿も見られ、「やはり国文学国語学科の学生は違うな」と感心させられました。

授業後には、「今は電子小説が主流の中、自筆原本を見られるのは貴重だと感じた。漱石の心情の乱れや苦悩が伝わってきて、自筆原本ならではの魅力がある。現代で言う“エモい”と感じた」といった感想も寄せられ、文豪を身近に感じる良い機会となったことを嬉しく思います。
(人文学部国文学国語学科 中村晋吾准教授)