【教員コラムNo,18】2026年春NHK朝ドラ「風、薫る」は日本初の看護婦大関和さん物語 2025.09.03 医療学部看護学科受験生の方へ受験生の保護者・高校教職員の方へ # 医療学部# 看護学科# 教員コラム

看護職をめざしている高校生の皆さん、また看護を大学や専門学校で学んでいる皆さんはNHK朝の連続テレビ小説を見る時間はないと思います。あったとしても「興味ないわ」と言われるかもしれませんね。でも是非2026年4月からはじまる「風、薫る」は見て欲しいドラマです。

私は歴史研究が専門で、日本看護歴史学会に所属しています。この「風、薫る」の看護考証は日本看護歴史学会がチームを組んで担当していて、チームメンバーのひとりとして、看護の偉大な先人お2人の歴史について詳しく調べているところです。

「風、薫る」は、訓練を受けた職業看護婦がまだいなかった時代に、東京の桜井女学校附属看護学校の1回生としてトレインド・ナース(職業看護婦)となり活躍した、大関和(ちか)さんと鈴木雅さんをモチーフとした物語です(NHKの説明では、モデルではないそうです)。ですから特に雅さんは実物とはかけ離れた描かれ方をしています。

雅さんは静岡県の士族の娘で、陸軍士官であった夫を亡くし、2人の子供のいる未亡人でしたが、看護学校に入学した時には英語が堪能で、外国人教師アグネス・ヴェッチの講義の通訳も臨床実習での指導の通訳も熟した才女です。雅さんは日本で初めて派出看護婦会(看護師の名称が変わったのは2002年です)を創設し、貧困の人には無料で派出看護婦を派遣し、看護婦の存在を人びとに広く認知してもらう活動をしました。

また大関和さんは、キリスト教の信者でもあり、廃娼運動などにも参加しています。看護婦の教育にも尽力し、『派出看護婦心得』(明治32年)、『実地看護法』(明治41年)などの看護書を自分で書き、発行しました。和さんは栃木県の小藩黒羽藩の家老の娘として生まれ、父の教えを受けて芯が強く、その行動力はすばらしく、内務省に看護婦資格制定の交渉をして、明治33年には全国で初めての東京府看護規則が制定されています。

「風、薫る」で看護がどのように発展してきたのかも描かれると思います。病院も当時のものを再現するのでしょう。多くの方に是非見ていただき、看護師という職業を選んでよかったと思ってもらいたいです。

執筆者(医療学部 看護学科 鈴木紀子・教授)

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