おやさと研究所では6月25日(木曜)、今年度の公開教学講座シリーズ「布教伝道と伝道学」の第3回講座として、森洋明研究員が「異文化伝道2―コンゴでの伝道とその課題」という演題で講演いたしました。森研究員は、天理教海外部でコンゴ伝道支援に40年間携わってきた経歴があります。
コンゴ共和国への天理教の伝道は、1960年に中山正善2代真柱が初めて訪問された折、タクシー運転手をしたノソンガ氏との出会いから始まりました。コンゴブラザビル教会は1966年、本部直属教会として設立されました。90年代に3度の内戦を経るなど、数々の困難を乗り越えて、今年(2026年)秋には教会設立60周年を迎えることになります。
森研究員は、豊富なスライドや動画を交えながら、コンゴでの伝道の特徴、異文化伝道論から見た視点、そして実際の教会での活動の状況を紹介しました。コンゴ伝道は、民族闘争や貧困、失業、HIV・エイズ問題など、厳しい政治的・社会的環境の中、コンゴ人だけで教会組織が運営され、教会活動が行われるなど、他の海外伝道には見られない特徴があります。
コンゴブラザビル教会の独自な活動には、教えを盛り込んだコーラス活動、新しい入信者のための「入信の儀式」、教義研修会(入門・初級・中級・上級)、こどもおぢばがえりに代わる「子どもの祭り」、託児から高校までの総合教育施設、テナント貸与や農園などの収益活動などがあります。これらの活動は、おぢばから遠く離れ、おぢばがえりが困難なコンゴの人々が信仰を育み、代を重ねて信仰を伝え、また地域社会に溶け込むために形成された現地化(ローカリゼーション)の現われでもあります。
その一方で、コンゴ人はもともと「宗教好き」で、スピリチュアリティ(霊性)が盛んな土地柄でもあり、本来なら天理教の教勢はもっと伸展していくべきところではないかとも、森研究員は指摘しました。現地では、独自なキリスト教分派の教会(アフリカ独立教会)や、また伝道史のずっと浅い日系新宗教の教団が、教勢を大きく伸ばしている現実があるからです。また、現地の不安定な社会生活の中では、宗教に対して「目に見える」解決が期待されているため、これにどのように対応していけばよいかという課題などもあります。
講演の後、教会本部の後方支援のあり方や、おつとめの勤め方も含め、現地の人々に天理教の教えをどのように伝えたらよいのかなど、フロアを交えて、活発な質疑応答や意見交換が行われました。最後に井上昭洋所長より総括コメントがなされました。 次回の公開教学講座は、7月25日(土曜)13時より、「異文化伝道3―ブラジルから日本へ:在日ブラジル人の布教」と題して、中西光一研究員が講演いたします。場所は天理大学研究棟第1会議室です。事前申し込みは不要ですので、振るってご参加ください。
「布教伝道と伝道学」(2026年度公開教学講座シリーズ)ご案内
https://www.tenri-u.ac.jp/news/65105/
*写真:森洋明研究員の講演の様子

(おやさと研究所・金子昭)
※第10回2月 井上昭洋 所長
伝道学の展開3―帝国時代とポスト帝国時代の海外布教戦略
会場がふるさと会館大ホールへ変更になりました。
※第6回と第7回が変更になりました。
<変更後>
第6回10月 尾上貴行 研究員
伝道史の探究3―戦前・戦中の北米伝道
第7回11月 岡田正彦 研究員
伝道史の探究2―『天理教伝道者に関する調査』を読む