公開教学講座シリーズ第10回「『元の理』の人間学/人類学」を開催 2026.01.29 教育・研究関連施設附属おやさと研究所講座公開教学講座6つのCONNECT世界とつながる

1月25日、おやさと研究所では、天理大学創立100周年企画として、公開教学講座シリーズ「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の第10回を開催しました。今回は、井上昭洋所長が「『元の理』の人間学/人類学―神話的テクストとして『元初まりの話』を読み解く―」という演題で講演いたしました。

講演内容は、「元初まりの話」が創世説話であり神話的テクストであると捉えた上で、これをレヴィ=ストロースの構造主義人類学の方法論を用いてアプローチするというものです。井上所長はまず、構造主義に基づいて神話を次のように説明しました。
(1)神話には、過去によって現在を説明し、現在によって未来を説明するという「時間的統合機能」、一つの筋によりさまざまな次元で物事がなぜ現在の姿であるかを述べる「複数コードまたは多重コードの使用」という2つの性格があります。
(2)神話はその説明に、自然vs文化や生vs死などの「二項対立」、要素を入れ替えても根本的なテーマ(構造)は維持されるという「変換」、対立する項目があってもその外面の矛盾を乗り越える「媒介」という方法を用います。

その上で、井上所長は「元初まりの話」を分析し、これが神話的テクストを持つ創世説話である(原作者は教祖)と述べます。そして、「元初まりの話」が大きく前半と後半に分かれ、前半は「第1幕:雛型と道具の確定」「第2幕:三度の宿し込みと三度の出直し」、後半は「第3幕:めざる一匹以降」という構成になっていることを示しました。(このうち第1幕と第2幕は「おふでさき」および「こふき本」に記されていますが、第3幕は「こふき本」にのみ記されています。)

「元初まりの話」は各種「こふき本」では、神道見立てや仏法見立てなど、19世紀後半の日本の農民の精神文化を背景にそのディテールが語られていますが、『天理教教典』の「元の理」(元初まりの話)ではそうしたディテールが省略されて本質的な部分を抽出する形で編纂・編集されています。また、神話学的に見れば、「元初まりの話」の前半(第1幕・第2幕)が「生」と「死」に関わり、神話的時間(神の時間)を示しているのに対して、後半(第3幕)は「生」にのみ関わり、現在にいたる歴史的時間(人間の時間)を示しており、前半と後半の間にいわば“断絶”があります。井上所長は、この“断絶”が構造上の節目として捉えるのが構造主義的説明であると指摘し、講演を締めくくりました。
講演後、参加者との間で活発な質疑応答や意見交換が行われました。

この公開教学講座シリーズは毎月25日に開催されます。事前申し込みは不要です。
次回、第11回の公開教学講座は、2月25日(水曜)13時より、天理大学ふるさと会館大ホールにて開催されます(1月25日と同じ場所です)。堀内みどり主任が「『元の理』のジェンダー論」と題して講演いたします。

(おやさと研究所・金子昭)

創立100周年(2025年)天理大学カレンダーの掲示

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