【教員コラムNo,25】
コップ一杯のお湯が人の生命力を解き放つ? 2025.11.06 医療学部看護学科受験生の方へ在学生の方へ在学生保護者の方へ受験生の保護者・高校教職員の方へ地域社会とつながる # 看護学科# 教員コラム

いきなり何の話?と思われた方も多いと思いますが、近代看護の祖といわれるナイチンゲールの言葉です。ナイチンゲールは世界中で読まれている「看護覚え書き」の中に、「熱い湯を入れたコップの上に手を1-2分間かざすと汚れあるいは垢をボロボロと落とすことができる」「病人が皮膚をていねいに洗って乾かしてもらったあとどんなにほっとして心地よく感じているか、それはその解放感や安らぎは、生命力を圧迫していた何ものかが取り除かれて、生命力が解き放たれた、まさにその徴候のひとつなのである」と記しています。

病気や災害などで何日も入浴できない、身体も拭けないような状況が続くと皮膚の新陳代謝を阻害して皮膚が正常な生理機能を果たせなくなるだけでなく、また、気分的にも塞ぎこみます。つまり、身体の清潔が保たれないと気持ち的にも落ち込むだけでなく、人との関わりもできなくなってしまいます。どんな状況下にあっても、からだを清潔にすることは重要な意味をもちます。

看護師は病む人のからだを拭き常に清潔を保つかかわりをしています。病気の種類や程度によってどのように拭くか、どの程度の時間をかけるかなどの専門的判断を行ったうえでケアを提供しています。もし、災害などによって避難所生活を余儀なくされた場合でも、コップ1杯(200㎖程度)の湯とタオル一本があれば、湯に浸し絞ったタオルを使って身体を温ため、拭くことによって爽快さを得て明日への生きる力を回復することができます。そのような相互扶助が自然派生的に沸き起こるよう、看護のコツをワンポイントレッスンで市民の皆さんにお伝えする活動を行っていきたいと考えています。

執筆者(医療学部・看護学科  茂野香おる・教授)

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