最近、アナログからデジタルへの流れが広がっていることを実感します。電子書籍が身近なものとなり、現金に代わりキャッシュレス決済が主流となりました。券売機で切符を買って電車に乗ることも、ほぼなくなりました。私が専門とする母性看護学の分野においても、妊娠や分娩の流れは大きく変わらない一方で、それを支える仕組みではデジタル化の話題がしばしば登場するようになりました。
例えば母子手帳。妊娠中のお母さんと生まれた子どもの健康記録を1冊にまとめて管理できる優れものです。診察結果などが手書きされたご自身の母子手帳をみたことがある人もおられるのではないでしょうか。この手書きの母子手帳も「電子版」※1の導入が進められています。
さらに、出生届のオンライン提出※2が始まっています。これまでは子どもの名前などを手書きした出生届を、市区町村の窓口に持参しての手続きが必要でした。オンラインではスマートフォンでの名前などの情報入力と画像添付で手続きが完了します。開始後1年となるこのシステムですが、今年5月時点での導入自治体は全国21都市にとどまっており、これを活用できる人はまだ限られているようです。
デジタル化は看護にとっても大きな変化をもたらすものです。そのため、利便性だけでなくその仕組みの安全性・公平性を同時に考えることも私たち看護に携わる者の重要な課題だと感じています。
※1電子版に登録された診察や検査結果などの情報は電子化され、本人だけでなく医療機関などでも閲覧できるので、救急時の情報確認などの活用が期待されています。正式名称は「電子版母子健康手帳」。
※2生まれた子の親の本籍地の市区町村がオンライン提出に対応していることなど、申請には一定の条件を満たす必要があります。
執筆者(医療学部・看護学科 永田阿子・講師)