私はがんの痛みをもつ患者さんの研究をしていますので、がん予防についてお伝えしようと思います。
昭和56年にがんが死因第1位となり、今では男女ともおおよそ2人に1人ががんと診断され、男性の4人に1人、女性のおおよそ6人に1人ががんでお亡くなりになっています。国立がん研究センターをはじめとする研究チームががんのリスク要因・予防要因を調査しており、どうすればがん予防につながるのかがわかってきました。
がん予防法の基本は、禁煙、節酒、食生活の見直し、身体活動、適正体重の維持、感染予防の6つです。
高塩分食品によって胃がんになるリスクはほぼ確実に増加し、熱いまま飲み込むことで食道がんになるリスクもほぼ確実に増加しますが、野菜や果物を摂取することで食道がんになるリスクはほぼ確実に減少することが明らかになっています。また、活発な身体活動によって大腸がんになるリスクがほぼ確実に減少することも明らかになっています。禁煙や節酒のみならず、食事や運動、適正体重の維持といった生活習慣病予防ががん予防にもつながりますので、ご家族で取り組んでみてはいかがでしょうか。
感染については、B型感染ウイルスやC型肝炎ウイルスが肝がんの原因に、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの原因になることがわかっています。特に子宮頸がんは若年層でも罹患するリスクが高いため、学生の皆さんも20歳から子宮がん検診を受けて頂くことをお勧めします。
執筆者(医療学部・看護学科 山中 政子・教授)