公開教学講座シリーズ第2回「『元の理』の人種理論・平等思想」を開催 2025.05.27 教育・研究関連施設附属おやさと研究所講座公開教学講座6つのCONNECT世界とつながる

5月25日、おやさと研究所では、公開教学講座シリーズ「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の第2回目を開講。今回は中西光一研究員が「『元の理』の人種理論・平等思想」という演題で講演いたしました。

中西研究員はブラジルのサンパウロ大学で歴史学の博士号を取得。専門はブラジル史、近代奴隷制史です。

まず最初に、中西研究員は、教祖在世当時の19世紀、南北アメリカでは奴隷制度が存続し、黒人差別を正当化する人種分離主義の思想があったとして、その歴史的状況について説明しました。人種分離主義の思想の背景には、「人類多起源説」がありました。一方、「元の理」の教えは、「めざる一匹」を支柱とする「人類単一起源説」を暗示し、これは「一れつ兄弟姉妹」、人類平等を謳った思想でありました。

そして次に、中西研究員は、「元の理」の教えとダーウィンの進化論を比較しつつ、人種差別が顕著であった時代において、「元の理」は人種間の平等だけでなく、男女平等の意義についても示唆していることを指摘しました。

それゆえ、「元の理」は単なる創造神話ではなく、人間救済の倫理をも指し示しています。この観点に立って、最後に、中西研究員は、「元の理」が「今の理」として、今日の世界において人種間の平等を強く訴え、多文化共生社会の実現に向けた導きの教えとなりうると強調して講演を締めくくりました。

1時間の講演の後、フロアと活発な質疑応答が行われました。また今回は、講座に合わせて、日本画家の村田和香氏による「元の理」の壁画の特別展示が行われました。

この公開教学講座シリーズは毎月25日に開催されます。事前申し込みは不要です。

次回、第3回目は、澤井治郎研究員による「『元の理』の社会思想」として、6月25日(水曜)13時より、天理大学研究棟3階の第1会議室にて開催されます。

(おやさと研究所・金子昭)

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