おやさと研究所では5月25日(月曜)、今年度の公開教学講座シリーズ「布教伝道と伝道学」の第2回講座として、澤井真研究員が「異文化伝道1―イスラームの宣教活動」という演題で講演いたしました。
澤井研究員は、イスラーム研究を開始した理由として、「天理教とキリスト教の対話」は行われたけれども、果たしてイスラームとの宗教対話は可能だろうかと考えたとのこと。そして、自分以外にはイスラームを研究しようと考える天理教の若者はいないだろうと、当時の心境を述べました。
天理教とイスラームに関連して、最も古い記録は、1926年(大正15)、中山正善2代真柱が海外巡教の際に中国で初めてモスク(清真寺)を訪問したことに遡ります。その後、天理教亜細亜文化研究所(現おやさと研究所)が創設されたときの第1回所員会議(1943年[昭和18]2月)で、2代真柱は挨拶し、回教(イスラーム)の伝道や信仰に圧倒されることなく、そのウイークポイントは何かを掘り下げることが大切であると強調されました。
澤井研究員は、ムスリム(イスラームの信徒)にとっては非ムスリムへの「宣教」(ダアワ)が信仰的な義務であり、現在では世界のムスリム人口は約19億人、5人に1人がムスリムになっていると紹介。その理由として、高い出生率に伴う自然増、結婚・出産に伴う入信や改宗の制度化、そしてムスリム子弟子女の自動的な信仰継承及び教育が背景にあると指摘しました。また、ムスリムからの改宗は原則としてできず、それでも改宗する場合には、家族や親族と絶縁する覚悟が必要になり、逆に迎え入れる側は改宗者を完全に受け入れる体制が求められるとも述べました。
イスラームでは、アッラーこそが最高神であると説き、99種類もの形容で神を表わします。しかし、神と人間の関係性を「親」と「子」という形で説くことはないと、澤井研究員は指摘しました。一方、天理教では、まさに神は「親」であって、人間はみな親神の下では普遍的な意味での兄弟姉妹であると説きます。親神はこのことを、教祖を通じて直接この世の表に現われて示されました。それが天理教の教えの「だめ(究極)の一点」たるゆえんです。澤井研究員は、イスラームとの比較をも念頭において、天理教の教えをさらに掘り下げていくことが重要であると指摘し、その上で、おやさと研究所こそ、布教伝道において「後方の参謀機関」としての役割が求められると述べ、講演を締めくくりました。
講演の後、イスラームにおける戒律と自由意志との関係、また天理教の「教理の生活化」はどうあるべきかなど、フロアを交えて、活発な質疑応答や意見交換が行われました。
次回の公開教学講座は、6月25日(木曜)13時より、「異文化伝道2―コンゴでの伝道とその課題」と題して、森洋明研究員が講演いたします。場所は天理大学研究棟第1会議室です。事前申し込みは不要ですので、振るってご参加ください。
「布教伝道と伝道学」(2026年度公開教学講座シリーズ)ご案内
https://www.tenri-u.ac.jp/news/65105/
*写真:澤井真研究員の講演の様子

(おやさと研究所・金子昭)
※第10回2月 井上昭洋 所長
伝道学の展開3―帝国時代とポスト帝国時代の海外布教戦略
会場がふるさと会館大ホールへ変更になりました。
※第6回と第7回が変更になりました。
<変更後>
第6回10月 尾上貴行 研究員
伝道史の探究3―戦前・戦中の北米伝道
第7回11月 岡田正彦 研究員
伝道史の探究2―『天理教伝道者に関する調査』を読む