
11月25日、おやさと研究所では、公開教学講座シリーズ「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の第8回目を開催しました。今回は、岡田正彦研究員(宗教学科教授)が「『こふき』と『元の理』」という演題で講演いたしました。
岡田研究員は、明治16年に記された「神の古記」の写本(天理図書館所蔵の墨書文書)をパワーポイントで提示し、この「こふき」本の叙述内容をたどりながら、天理教教理における「元の理」の位置づけについて考察しました。
明治16年本「神の古記」は、前段にあたる「神最初之由来」と本文「神之古記」からなります。岡田研究員は、前者が最古の教祖伝にあたる内容を有しており、これを踏まえて後者が教理編としてあることを指摘。その上で、「神之古記」のプロットと構成について説明しました。
「神之古記」の内容は多岐にわたり、これを丁寧に読めば『天理教教典』第3章「元の理」の内容よりも、「こふき」が一層大きな内容を有していることが分かります。岡田研究員は、初期の別席台本が「こふき」話だったとする中山正善二代真柱の説明を紹介し、実際「こふき」は単に「元はじまりの話」だけにとどまらず、天理教の教理の基本内容を網羅していると示唆しました。
最後に、岡田研究員は、現存する「こふき」本に直接アクセスすることによって、それぞれにその深淵な神の言葉の沃野に踏み入れて頂きたいと締めくくりました。
講演後、フロアとの間で活発な質疑応答や意見交換が行われました。
(今回の公開教学講座では、日本画家の村田和香氏による「元の理」の絵画の展示も行われました。)
この公開教学講座シリーズは毎月25日に開催されます。事前申し込みは不要です。
次回、第9回目の公開教学講座は、12月25日(木曜)13時より、天理大学研究棟3階の第1会議室にて開催されます。森洋明研究員(国際学部教授)が「『元の理』と異文化理解」と題して講演いたします。
(おやさと研究所・金子昭)