【教員コラム No,26】ご褒美のEXPO2025 2025.11.12 医療学部看護学科教育・研究受験生の方へ在学生の方へ在学生保護者の方へ受験生の保護者・高校教職員の方へ企業・一般の方へ # 看護学科# 教員コラム

前評判を覆して大成功裏に終わった『大阪関西万博EXPO2025』、通期パスで何十回と訪れる猛者がいる中、私も1回だけ参戦してきた。

6月3日に『日本館』の隣にある『WOMEN’S PAVILION』で行われたシンポジウムに演者として参加する機会を頂いたのだ。このシンポジウムのテーマは「女性が輝く近未来社会とテクノロジー」で、私が修士課程中に発明し特許取得した『エンジェル・リング(商標登録済み)』(軟突起付き人工筋肉リングを用いた乳汁分泌促進器)をお披露目することが出来た。

私の専門領域である母性・母乳・助産師がキーワードとなる分野の話に興味を持って頂けるか不安だったが、発表後に試作品の前には行列が出来て、「これは、いつ商品になって使えるようになりますか?」や「自分は、産後に母乳が出なくてとても苦労した、あの時、これがあれば…」という意見を沢山頂いた。

現場で助産師をしているときの無力感を心の中にくすぶらせたまま4半世紀を経て、修士課程の研究という形で向き合い、母乳育児を望むママさんたちの不安や苦労を軽減する一手と成り得るツールを作成した。そして、今回のシンポジウム参加者の皆さんの反応から、私が作ったものは時代遅れではなく今も多くのママさんたちが切実に必要とされていることが分り、「早く商品として完成させ、ママさんたちのもとに届けなくては!」と更に開発を進める勇気を貰えた。

6月3日はまだ万博が大人気になる少し前の時期で朝からの大雨もあって、当日来場者は9万人だったことが幸いして、シンポジウムを終えて夕方からだけでも6パビリオンを見学し、なんと最後には超人気だったフランス館に予約無しで入ることもできて(さすがに大人気クロワッサンは買えなかったけれど)、大満足の一日となった。帰りのゲートで振り返った時のライトアップされて幻想的な大屋根リングの美しさと言ったら…。私にとってはまさにご褒美といえる万博の日となった。

54歳で離婚、57歳で修士課程進学、60歳で万博、「人生、何が起こるか分らない!先のことは分らない!何一つ思い通りには成らない!どう転がるか分らない!」を体現してきた私。そんな日々の中でも目の前の与えられた状況をただ淡々とこなすのではなく、どんなにどうしようもないと思う場面でも誠心誠意一生懸命体当たりすることで、何かしら小さな光に辿り着けると思える今日この頃。

半世紀前の大阪万博で太陽の塔を見上げていた幼稚園生の自分に、「これからいろんなこと大変なこともあるけど、またもう一回大阪で万博があるよ。そして、嬉しい事があるよ。」と耳打ちしたい気分だ。

 執筆者(医療学部・看護学科 幾嶋祥子・助教)

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