【教員コラムNo,24】
小さなコバエが教えてくれた大きな気づき 2025.10.27 医療学部看護学科受験生の方へ在学生の方へ在学生保護者の方へ受験生の保護者・高校教職員の方へ地域社会とつながる # 看護学科# 教員コラム

数年前、我が家の台所にコバエが湧いた。日ごと状況は悪化し、ドラッグストアに駆け込んで、置型の駆除剤を購入した。それは赤とオレンジ色の小さな壺型をしており、本当に効くのかと、疑いと祈りを込めて台所に設置した。二日後には、驚く効果が現れた。

改めて手に取った外箱には、コバエが好む色と香り、止まり木効果や潜り込む習性を活かした容器と殺虫剤の形状など、コバエ研究に基づく工夫が紹介されていた。また、『コバエの習性を知りつくしたからこそ、コバエを根こそぎキャッチします』と、情熱や自信が込められていることが伝わってきた。開発者たちのコバエに対する探究心を感じて、うらやましい気持ちになった。

当時の私には、コバエ以外にも頭を悩ませていることがあった。それは研究テーマを見つけられずいたことだ。苦しくてたまらなかった。この商品が世に出るまでにも、多くの試行錯誤があったはずだが、その過程も楽しんでいる様子が想像できた。研究テーマとは、まず自己の日常に興味を持ち、そこから湧きあがってくるものかもしれない、そんな思いが、この経験から芽生えた。

私の経験は、学生にも共通しているのではないかと思う。在学中に研究テーマに向き合うとき、つい広い外の世界ばかりに目が向いていないだろうか。ひと息ついて、身のまわりを観察したとき、心から関心をもてるテーマが、コバエのように突然湧いてくるかもしれない。

執筆者(医療学部・看護学科  前川理恵子・助教)

関連リンク

ページ先頭へ