
9月25日、おやさと研究所では、公開教学講座シリーズ「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の第6回目を開催しました。今回は、澤井真研究員が「『元の理』の見立て・象徴論」という演題で講演いたしました。澤井真研究員は宗教学科准教授でもあり、宗教学・天理教教義学が専門分野ですが、宗教学に関しては主にイスラーム思想を研究しています。
今回の講座で澤井研究員は、日本の文化的伝統のなかで育まれてきた見立てや象徴を切り口として、「元の理」に示された親神の十全の守護を読み解く試みを行いました。
和歌や俳諧などで用いられてきた見立ては、表面上で与えられているものの背後にある一貫した意味を、“創造的想像”を通して表わすものです。
天理教では、見立ては、親神の教えを説くに当たって、その十全の守護の理を他の神仏や天体の星辰になぞらえて説明します。一方、説き分けとは、神道にまつわる神名や、泥海中の動物を通して親神の守護の“象徴”と捉えて理解するものとされます。
澤井研究員は、元初まりの話で示された親神天理王命がもつ守護や神性の諸側面について、神のペルソナ(位格)に関するイスラームの神学的議論と対照させながら説明しました。
最後に澤井研究員は、見立てや裏守護と、説き分けの間を行き来することが、テクスト(こふき本)とコンテクスト(教祖ご在世時だけではなく現代も含む)のあいだを行き来することではないかと指摘。そして、「こふき」話には解釈の余地や余白を多く残してあることが教えの豊かさにつながっていると締めくくりました。
講演の後、フロアとの間で活発な質疑応答や意見交換が行われました。
この公開教学講座シリーズは毎月25日に開催されます。事前申し込みは不要です。
次回、第7回目の公開教学講座は、10月25日(土曜)13時より、天理大学研究棟3階の第1会議室にて開催されます。天理大学副学長でもある島田勝巳研究員が「『元の理』と天理教学」と題して講演いたします。
(おやさと研究所・金子昭)