
看護師の芽、地域で育てる
医療学部看護学科は8月9日、天理大学創立百周年記念事業「いのちをまもる おしごとたいけん」を天理駅南団体待合所で開催しました。市内に住む4才から小学校3年生までの子ども40名を招待して、医療体験イベントを実施しました。教員、学生のサポートのもと、子どもたちは聴診器をあてる体験やおむつ替えなどを通して、看護師のリアルな仕事の一端に触れました。
絵本のストーリーで楽しく学ぶ
「いのちをまもる おしごとたいけん」は、2019年から実施している「まちの保健室」をもとに、大学創立百周年の記念事業として初めて子ども向けに開催された医療体験イベントです。小児看護学・基礎看護学・成人看護学の教員を中心に5月から準備を進めてきました。絵本の世界に入り込むような構成で、子どもたちが楽しみながら医療に触れ、看護という仕事を身近に感じられる体験型プログラムを考えました。
当日は、このイベントのために創作した絵本の主人公「まもる君」と一緒に看護体験を進めていきました。ストーリーに合わせて子どもたちは、3つの看護の仕事を体験しました。最初は包帯巻きです。看護師と患者の役に分かれ、腕に包帯を巻いてテープで留めるまでを学びました。次に、聴診器を使って、お母さんや自分の心音・お腹の音を聞く体験をしました。助産師の仕事の体験では、赤ちゃん人形のおむつ替えや抱っこを通して、命を支える仕事の大切さに触れました。子どもたちはどの体験にも真剣に取り組んでいました。
閉会時には、教員から「命を守る人になりたいですか」と優しく問いかけ、子どもたちの心に語りかけました。最後は、手術室で働くオペナースの制服を着て記念撮影。子どもたちは目を輝かせていました。
徳島 佐由美准教授は、「小児看護学だけでなく、各看護学の教員が意見を出し合って丁寧に準備を重ねてきました。今回の取り組みが子どもたちの思い出に残ってくれれば嬉しいです。学生は子どもと直接触れ合いながら看護を教える良い経験になったと思います。小児科に関心を持つ学生が増えることを願っています」と話しました。





看護学科・参加学生の声
金澤 咲也加さん(看護4・桜井)
将来は小児科の看護師を目指しています。多くの子どもたちと触れ合うことができ、私自身にとっても貴重な経験になりました。子どもたちの将来の道が広がるきっかけとなれば嬉しいです。言葉だけでは伝わりにくいことも、実際に見せることでスムーズに伝わり、工夫しながらコミュニケーションを深めることができました。
石井 純鈴さん(看護4・小豆島中央)
将来は小児科の看護師を目指しています。同じ年代の子どもでも性格や成長のスピードは一人ひとり異なり、「何歳だからこれができる」といった教科書通りにはいかないことを実感しました。子どもと出会う時間が楽しく大好きです。小児科に行きたい気持ちがますます高まりました。
秋岡 心花さん(看護4・天理)
小学生の頃、赤ちゃんの発育を学ぶ授業で「誕生カプセル」を育て、自分が生まれた時のお母さんの状況や手紙に触れたことが、助産師を目指すきっかけになりました。将来は、温かく人に安心を与えられるような助産師になりたいです。子どもたちには「命を守る仕事って素敵だな」と感じてもらえたら嬉しいです。

参加者の声
○「東京MER」で俳優の鈴木亮平さんが演じる喜多見チーフドクターに憧れる小学2年生の女の子。聴診器体験で自分の心臓の音が「ドクドク音がして早かった」と興奮。お母さんは「本物の医学を学ぶ学生さんの生の声が聞けて貴重な経験でした。もう少し時間があってじっくり体験できたらよかったです。素晴らしいイベントでした」
○医師に憧れる小学1年生の女の子が「全部楽しかった!」と体験を満喫。家族3人で参加し、夏休みは予定がいっぱい。自由研究にも書くか迷い中だそう。
お母さんは「(職業体験ができる)キッザニアみたいで嬉しい。地元でまたやってほしいです」
○聴診器で自分のお腹の音を聞いたという小学3年生の男の子が「聴こえた」とつぶやきました。お母さんは「医療への興味が芽生えるきっかけになってくれれば。地元の大学がこうした機会を作ってくれるのは本当にありがたいです」
石橋 かず代 准教授
命の大切さを伝えたい思いから企画したプログラム。赤ちゃんのモデル人形を丁寧に抱っこした子どもが「かわいい」と声を上げ、お母さんも笑顔に。実施してよかったと感じました。子どもたちが看護に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。来年以降は今回の反応を見ながら、地域貢献につながる形を検討し、命の大切さを感じられる機会を作っていけたらと考えています。