公開教学講座シリーズ第3回「『元の理』の社会思想」を開催 2025.06.30 教育・研究関連施設附属おやさと研究所講座公開教学講座6つのCONNECT世界とつながる

6月25日、おやさと研究所では、公開教学講座シリーズ「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の第3回目を開催しました。今回は、澤井治郎研究員が「『元の理』の社会思想」という演題で講演いたしました。澤井治郎研究員は人文学部宗教学科准教授でもあり、専門分野は天理教学と宗教学です。

澤井研究員は、講演の中で、「元の理」に基づく人権論を展開しました。教祖と同時代の福沢諭吉の「天は人に上に人を造らず人の下に人を造らず」という天賦人権論と比較し、親神の下で人類が「一列きょうだい」である世界を目指した教祖の思想について論じました。

その際、「一列きょうだい」の教えがある一方で、教祖はなぜ「から」と「にほん」という対比を「おふでさき」で用いられたのかと問題提起。澤井研究員は、確かに「おふでさき」第6号までは「から」や「たかやま」に対して批判的姿勢が鮮明に出ているけれども、第10号以降はその対比が解消されていると説明しました。

教祖の理想世界は「神のままなり」というものです。これは、世界一列きょうだいとなる世界であり、また人間の心が澄み切った世界です。そこでは「めずらしたすけ」が実現します。しかし、国や人種の相違が無くなったり、砂漠や極端な気候が無くなったりすることはないでしょう。そういう相違や気候条件があっても、人権の尊重観念が徹底していれば、人間の心次第によって陽気ぐらしは可能だからです(西山輝夫「『元の理』にみる世界地図」参照)。

澤井研究員は、「元の理」の社会思想がこうした「めずらしたすけの世界地図」であると結論づけました。そこでは誰もが「きょうだい」であるがゆえに、互いにたすけの心が中心となります。そこから、「元の理」の人権思想を構築することができると締めくくりました。

約1時間の講演の後、フロアとの間で活発な質疑応答や意見交換が行われました。

この公開教学講座シリーズは毎月25日に開催されます。事前申し込みは不要です。

次回、第4回目は、尾上貴行研究員による「『元の理』と布教伝道」です。7月25日(金曜)13時より、天理大学研究棟3階の第1会議室にて開催されます。

(おやさと研究所・金子昭)

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