
天理大学で「生涯学習概論1」(「博物館学芸員」課程資格科目の一つ)を受講する1年次生5名が、附属施設である天理参考館の常設展示における搬出および模様替え作業(全4回)にボランティアとして参加しました。
今回の模様替えは、2025年7月26日より奈良国立博物館で開催される「世界探検の旅―美と驚異の遺産―」展に、天理参考館から資料を出展することに伴い実施されたものです。学生たちに学芸員の業務を体験してもらいたいという思いから、大学教員と参考館職員が連携し、学生の参加が実現しました。

6月10日に行われた第1回目の搬出作業には、歴史文化学科の1年次生3名が参加。作業に先立ち、巽善信副館長より、天理参考館が「世界各地の生活文化資料・考古美術資料を収集・研究・展示する博物館」であること、そして「当時の人々の暮らしや歴史を知り、お互いのこころを理解する」ことを目的としていることが説明されました。また、「今の社会をどう残していくか」という博物館の収集の役割や意義についても紹介されました。
その後、学生たちは1階「世界の生活文化」中国地域の「幌子」コーナーへ移動しました。巽副館長は、「幌子」が文字を使わず、商品の模型や象徴的な作り物で商う商品を示す看板であることを解説。学生たちは資料の背景やエピソードに真剣な眼差しで耳を傾けました。
展示作業では、中尾学芸員の指導のもと、学生たちは「幌子」の配置を検討しました。「この看板はどの高さから見せるのが良いか」「ほかの看板とのバランスはどうか」といった問いかけに対し、学生たちは相談しながら丁寧に作業を進めました。


第3回目(6月17日)以降は、常設展示の入替作業が本格化。この日は1階「世界の生活文化」パプアニューギニアコーナーにて「仮面」の展示作業を実施しました。早坂学芸員が展示物の持ち方や運び方、力のかけ具合などを具体的に説明し、学生たちは注意深く作業に取り組みました。来館者の導線や視点を意識しながら、展示角度や配置を工夫する姿も見られました。




今回の模様替えを通じて、学生たちは学芸員の仕事の一端を体験するとともに、展示資料やその歴史的背景について学芸員から直接話を聞く貴重な機会を得ました。
天理大学では今後も附属施設との連携を深め、学部の垣根を越えて多くの学生が本学所有の貴重な資料や書物に触れる機会を提供していく予定です。
なお、「世界探検の旅―美と驚異の遺産―」(会場:奈良国立博物館)は、「奈良国立博物館開館130年・天理大学創立100周年記念特別展」として開催されます。天理参考館が世界中から収集した約30万点の資料の中から厳選した作品群と、奈良国立博物館所蔵の仏教美術作品を組み合わせ、人類の約6000年に及ぶ歴史を探求する展覧会です。
また、天理参考館では第99回企画展「こけしⅡ―遠刈田と土湯・中ノ沢―」が、2025年7月23日(水)~9月8日(月)の期間で開催される予定です。
学生コメント(歴史文化学科1年次生 浅田梛さん)

天理参考館には入学前から何度か訪れており、興味を持っていました。今回このような形で参加できてとても嬉しいです。貴重な資料に直接触れたり、学芸員の方からさまざまなお話を伺えたりして、天理大学に入学して本当によかったと思いました。またこうした機会があればぜひ参加したいです。
巽副館長コメント

大学1年生は、大学生活の学びの基礎を築く大切な時期です。天理参考館の資料に実際に触れることで、現場でしか得られない体験を通じて、今後の学びにつなげてほしいと思います。教職員と連携しながら、こうした機会を今後も学生に提供していきたいと考えています。