日本学科(留学生対象)「Excursion」を開催しました 2026.02.13 国際学部日本学科(留学生対象)6つのCONNECT学生同士がつながる

【実施日】2025年12月21日(日)

近年、天理大学国際学部日本学科(留学生対象)では、本学に在籍する私費留学生を対象としたExcursionを年に2度ほど実施しています。

関西の企業博物館をめぐった7月27日に引き続き、2025年度2回目のExcursionは、12月21日(日)に高野山でおこない、日本学科教員が5名、学生が14名の計19名が参加しました。

高野山は、標高800メートルの山上に117の寺院が存在する宗教都市で、平安時代に弘法大師空海が真言密教の道場として開山して以降、奥の院、壇上伽藍、総本山金剛峯寺を中心とする祈りの場であり、1200年を超える歴史をもつ真言密教の聖地といえます。

宗教者でなくとも長い時間をかけて地域の生活・生業の中で育まれたお寺との関わり、宗教文化が根付いており、「紀伊霊場と参詣道」として2004年にユネスコ世界遺産に登録されています。

その神秘的な様相が日本人のみならず、インバウンドで訪れる外国人旅行者にも大変人気の観光名所となっているといいます。

精進料理体験

日本食は、一つには歴史の中で開化した京都を中心とした山間の食文化が今日まで伝わったものと解釈されます。何か特別な日(ハレの日)に饗される特別な食事もありますが、一般家庭においては、日々の日替わりのローテーションで食卓に登場する惣菜を「番菜」といい、昭和後期頃から飲食店で提供されると付加価値がついて「おばんざい」というわけです。そんな多様性をもつ日本の食文化の中で、日々供される精進料理は、まさしく原型の一つに位置づけられています。

精進料理は、6世紀頃に中国から伝わったとされ、仏教の戒律に基づき、肉や魚といった動物性食材と、ニンニクなど匂いのきつい食材を用いず、四季折々の食材を活かして調理する修行僧のための食事で、作ることも、食べることも「修行」の一環として重要視されてきたそうです。

この観点から、留学生には、宗教文化の中で育まれた精進料理の食体験を通じて、日本の食文化についての理解を深めさせることとしました。

総本山金剛峯寺の見学

総本山金剛峯寺とは、正式には高野山金剛峯寺といい、高野山真言宗全体の宗務を司っている寺院です。江戸時代に再建された広大な建築物の内部には、狩野派をはじめとする目を見張るほど美しい障壁画、きれいに整備された庭園などがみられ、天皇家をはじめとする多くの権力者との関わりを見ることができます。庫裡には、何百人もの食事をまかなってきた台所があり、大きな飯釜などを見学ことができます。装飾品や障壁画も、いつ誰が寄進し、誰に描かせたのか、どのような意味や祈りが表現されているのか、誰のための部屋なのかといったことを考えつつ、丁寧に拝見していくと、決して決められた見学時間内には収めることができません。庭園も、季節や時間帯、天候によっても目に映る景色や視覚的な印象が異なるため、何度も足を運びたくなることでしょう。

奥の院における企業墓の探索

高野山奥の院には、親鸞聖人もいれば法然上人の供養碑もあり、武田信玄も織田信長や徳川家康の供養碑もある。まさにオールスター感謝祭のようであり、宗派を問わず歴史上の著名な人物や一族の供養碑とともに、「企業墓」といわれる供養碑がたくさん存在します。そこに、「総菩提所」といわれる高野山の宗教的特異性があるのでしょう。

企業墓とは、戦前から作られ始め、企業が亡くなった社員や功労者、創業家などの供養のために奉納した供養碑のことをいい、形状も五輪塔や墓碑から、企業を象徴するヤクルトやロケットなどその形は様々にあります。これらは、企業と社員の関係性、企業と神仏との関わりなど、日本の企業文化を考える上で重要な視点なのだそうです。

今回のExcursionでは、王向華教授に御案内いただき、駐車場から奥の院までの道中にある企業墓の探索をおこないました。一部の企業墓には、名刺入れがあり、名刺を奉納すると企業から御礼メールが届きました。このことは、今も企業が管理しており、関係性を持ち続けていることを実感します。

さて、今回のExcursionでは、高野山に育まれた宗教文化を探求することをテーマに実施しましたが、参加した学生は、現場でしか感じられない学びに対する思いをどこまで意識し、何を感じ取ったのでしょうか。この経験が、「楽しい遠足だった」ではなく、今後の学びに活かされることを期待したいのです。

日本学科(留学生対象)専任講師 長谷川奨悟

参加した留学生の声

・これは私が初めて日本の仏教の寺に行ったことである。今まで行ったことがあるのは神道しかなかった。お寺内では仏教の雰囲気が大変強かった。それだけでなく、匂いまでとてもタイの雨季のお寺と似ていた。建築や芸術などの日本のやり方の中に、インドのような美術もみられる。会社の墓も見たことないから、大変驚いた。一目見た瞬間「あつ、これは日本にしかないだろう。」と思った。将来自分の会社が出来たらここに墓を置きたいと思っている。(CP)

・The excursion day is one of the highlights of my Autumn school term in Tenri University this year. While it was a freezing raining day, the vegetarian lunch that we had was very good and I particularly like the tofu. The cemetery that we visited after lunch was also very interesting and inspiring, leading me to think about what does "death" mean to Japanese and how it gives us a glimpse of Japanese way of approaching life. The real highlight of the day for me is those very tall trees throughout the area. Most of them have been there for hundreds if not thousands of years. They have witnessed a lot of changing eras on this land and I could not help to think how small and insignificant we are as a species. I really have learnt a lot on that day. (WCH)

・当日は雨が降っていましたが、幸いそれほど寒くはなく、予定通り見学を行うことができました。昼食後、真言総本山である金剛峯寺を訪れ、建物や庭園を見学しながら、高野山の歴史や真言密教の文化について理解を深めました。落ち着いた雰囲気の中で、日本の伝統的な寺院文化を身近に感じることができました。次に、奥の院を参拝しました。雨の影響と周囲を囲む深い森のため、墓地内はやや暗く、とても静かな雰囲気でした。そのため、歩いている中で少し緊張感を覚える場面もありましたが、不安というよりも神聖で厳かな空気を強く感じました。特に、奥の院の中にあるお堂に入った際には、心が静まり、日常生活では味わえない精神的な側面を感じることができました。今回の見学を通して、日本の仏教文化や高野山の持つ独特な雰囲気を、実際の場所で体験することができました。授業で学んだ内容を現地で確認することができ、とても印象に残る一日となりました。(NTM)

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