
12月14日に開催された「奈良マラソン2025」に天理大学の学生が、ボランティアスタッフとして参加しました。
今年で16回目を迎えた奈良マラソンは、フルマラソン(42.195km)に加え、ペアリレーマラソン(42.195km)、世界遺産10K(10㎞)、前日に行われたミニ奈良マラソン(2km×2周)の4種目で、国内外から1万6千人を超えるランナーが参加しました。あいにくの雨模様の中、沿道の温かい声援に包まれながら、ランナーたちは冬の大和路を駆け抜けました。

奈良マラソンは近年、中国人をはじめとする外国人ランナーが多く出場することもあり、通訳ボランティアとして、佃柚希さん(中国語専攻4年次生・枚方津田)と竹田治美 中国語学科教授が、インフォメーションブースで総合案内や落とし物・迷子、視察・報道対応などを行いました。
また、ペアリレーマラソンの中継地である天理市内でも学生11人が、ランナーサービスや手荷物預かり、選手・来場者の誘導を行うなど、ボランティアとして参加しました。


マラソン競技では、世界遺産10K種目男子総合の部に出場した陸上部コーチを務める岩山海渡 体育学科准教授が、32分55秒で見事7位入賞を果たしました。1週間前に福岡でフルマラソンを完走したばかりという岩山准教授は、「(足の状態を見て)直前まで出場するか迷いましたが、参加してよかったです」と、昨年に続く上位入賞に安堵の表情を浮かべました。


メイン会場の「ロート奈良鴻ノ池パーク」では、マラソン参加者だけでなく誰もが楽しめるイベントとして「奈良マラソン2025EXPO(エキスポ)」が開催されました。奈良が誇る観光や名産、グルメのブースが軒を連ね、会場は熱気と笑顔であふれました。天理大学は、包括提携を結ぶ天理市、大塚製薬株式会社とともにスポーツ飲料試飲のブースを出展しました。中国語学科の学生らは、来場者や走り終えたランナーたちに試飲を呼びかけました。

奈良マラソンは「台湾国際マラソン交流協会」と友好協定を結び、両大会間で選手派遣や交流を行っています。中国語学科の学生たちは、空いた時間を利用して、同協会のブースを訪れ、交流を深めました。

肝炎検査啓発イベントに臨床検査学科の教員と学生が登壇
エキスポの特設ステージでは、「なるほど肝炎@奈良マラソン2025-あなたの肝臓大丈夫?知っていますか奈良宣言-」が開催され、奈良県立医科大学消化器・代謝内科の吉治仁志教授と奈良県出身の落語家・笑福亭生寿(せいじゅ)さんによるトークイベントが行われました。
吉治教授は、奈良県が肝炎ウィルス感染の検査率が全国最下位であることに触れ、「その脱却を目指して(2023年日本肝臓学会総会で)奈良宣言を出しました。ALT値が30を超える場合は、肝炎ウイルスなどの異常を示すサインです。早めにかかりつけ医へ相談してください」と来場者に呼びかけました。
続いて、医療学部臨床検査学科の藤原美子講師と同学科4年次生の吉川凜さん、毛利直尊さんが登壇しました。臨床検査の役割や早期発見の重要性、さらに運動によって肝臓が元気になることを3人の会話風のやりとりにまとめ、わかりやすく紹介しました。



午後には雨も上がり、うっすらと青空が広がった奈良マラソン最終日。学生たちは、多くの人々が集まる大規模なイベントで、積極的にボランティア活動に励みました。こうした経験は、学びを実践に結びつけるとともに、国際交流の喜びを実感する貴重な機会となりました。
台湾文化大学からの交換教授 黄 馨儀先生をはじめ、交流協定校である台湾の大学から本学へ留学中の留学生も在学生とともに参加し、大いに貢献しました。
また、体育学部の学生や、サッカー部、陸上競技部に所属する学生も、コース上のボランティアや競技役員として、沿道整理等の役割を担いました。
参加学生の体験談
- 毛利直尊さん(臨床検査学科4年次生・東邦)
クラスの仲間を引っ張るリーダー的存在で、将来は周りから頼られる臨床検査技師を目指すという毛利さん。「中学生の頃、友人のお母さんが乳がんで亡くなりました。もう少し早く気づいていたら救えた命だったかもしれない」。その思いを原点に、ステージでは早期発見の大切さを丁寧に伝えました。 - 吉川凜さん(臨床検査学科4年次生・桜井)
4回生になり、ようやく知識が体系的にまとまり、検査数値の背景にある理屈を理解できるようになったという吉川さん。「私自身、生まれつき視力が弱かったことや、祖父が糖尿病を患っていた経験から、体の異常を正確に把握する臨床検査技師の仕事に興味を持ちました。ステージでは緊張することなく、検査の重要性について、落ち着いて伝えることができました」。 - 吉田頼親さん(中国語学科2年次生・天理)
「奈良マラソンにスタッフとして初めて参加し、会場の盛り上がりにびっくりました」と語る吉田さん。このほど「全日本中国語スピーチコンテスト」の奈良県大会の朗読部門で優勝し、音源審査を経て全国で最優秀賞を受賞。「今後もさまざまな人との交流を通じて、自分の世界を広げていきたいです」。 - 大久保柚月さん(中国語学科2年次生・高取国際)
昨年に続いてボランティアとして参加した大久保さん。台湾から来た6人のランナーがブースに立ち寄った際に「中国語で『お疲れ様』」と声をかけて挨拶を交わし、『ありがとう』と返してもらえたことなど、とても楽しい経験になりました。参加して本当に良かったです」。来年2月から約1年間台湾へ留学する予定で、今回の交流がその大きな後押しとなったようです。